Sagittaria trifolia L. 'Caerulea'
年末年始実家に帰省していたんで、当然おせちも食べました。
で、そもそも私は別におせちとかそんなに好きじゃないんだけど。いやでもまあ、昔の人の知恵らしいけどね、あれも。お正月は面倒な料理とかしなくてもいいようにっていう事らしいね。聞いた話だけど。だから日持ちメンバーをお正月前にああやっておせちとして準備するんだとか。聞いた話だけど。
まあ黒豆とか昆布巻き、数の子とか。食材それぞれに意味とかもあるじゃん。だからまあ、一概にそういうわけじゃないだろうけどさ。でもそれを聞いた時私はなんというか、胸のつかえがとれたというか。
「ああ、二人で切磋琢磨してそれが歴史になってるんだろうかな」
って。
単に縁起がいいからって言うだけだと、いつか苦しい時が来るというか。大変な事もあるだろうなって。わかる?一人だけだとどうしてもそこに注目が集まるでしょう?何だってそうじゃん。
日向の者が居れば、日陰者だっているわけよ。表舞台に立つ人もいれば、舞台裏ですごい人だっているわけ。で、それってどっちが重要とか、どっちの方が劣等とかそう言うのじゃないんです。二人でやってきた事なんです。二人で切磋琢磨して作ってきた歴史なんです。どっちか一方だけだったら廃れていたかもしれないわけです。
「縁起がいいからってだけで、別においしくないし食べなくても」
「要するに手抜きじゃないか」
片方だけだといずれこういうことになる。その文化の繁栄の妨げになる。でも、二人だったら・・・。二人だったらふたりはプリキュア。
だから、
「ああ、おせちもそういう感じだったんだ」
って言うのが私がその話を聞いた時の感想。
「ああ、おせちも縁起がいいって言うだけじゃないんだな。安心しました」
そんなおせちなんですけど、今年のおせちには例年には出ない、出たことない、初めて見た不思議な食べ物が重箱の隅におりました。
「これ何?」
なんかこれ、初めて見たけど、これ。
この、
小さいじゃがいもから芽が出てるみたいなやつこれ。この八角形に切ってるみたいなこれ。
「知らないの?それはくわい」
「え?何?」
「くわいよ、くわい」
くわい?こんなのいつもないじゃんこれ。
ただでさえおせちって言うのは苦手です。何が苦手って全体的に味付けが甘めだし。あと位が高いよね。全体的に。レベチ。私には。っていうかおせちって食べるものなのか?あれで完成系っていう感じしない?重箱を開けて並べて。それで終わりじゃないおせちって?あまりにも完成されてて箸つけるのがなんか勿体ないというか。だからもう正直おせちは食品サンプルでいい私は。食品サンプルのおせちを並べて、それを見ながらカレーとかでいい。私は。人見知りする。おせちに。
ハイソサエティな人が家に来たみたいな感じになるおせちって。緊張する。それぞれの縁起みたいな事を説明されるのもしんどい。天皇陛下御家族一行が来たみたいな感じになる。緊張する。
そんな中にくわい。知らない人。くわい。くわいだって。クワイエットプレイスしか出てこない。くわいって言われても。
「これはどうしたの?」
「こないだほらふたご座流星群があったでしょう」
「え?」
「その時落ちてきたのよくわい」
こないだほらふたござりゅうせいぐんがあったでしょうそのときおちてきたのよくわい
は?
コナイダホラフタゴザリュウセイグンガアッタデショウソノトキオチテキタノヨクワイ
え?は?
「流れ星なのくわいは」
いや、え、は?
はあ?
「Sagittariaとtrifolia Lっていう星が衝突したことで発生した'Caerulea'」
「え?」
「それがふたご座流星群となって降り注いだ」
「あ?」
「で、その際に中国の人工衛星『慈姑』を破壊したことの記念でこれがくわいとなったの」
何何何?何言ってんだこの人。
あとで調べたら、Sagittaria trifolia L. 'Caerulea'っていうのはくわいの学名だった。あと慈姑はくわいを漢字で書いた名称だった。
何どうしたってなった。
急にさ、ゼログラビティみたいな話してきた実家の人。
まあ、ゼログラビティは好きだけども。
ロシアが自国の人工衛星を破壊したところ、他の人工衛星も連鎖的に破壊されてそれでスペースでブリが発生して、大変なことになるんだ。それみたいに言ってたぞ。くわいの事。
で、最後は『神舟』で地球に帰る。あ、これはゼログラビティの話。
慈姑を神舟にしたみたいな話してきた。実家の人。
もちろんそんなんだからくわいの味は覚えてない。
ただでも、ゼログラビティは面白い。何度も観てる。