表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第一部 使い魔店の看板娘
9/243

第9話

 赤毒蛇(ポイズンパイソン)をどうにか助け出して屋敷に帰ると、お怒りのタムリンから無言でポコポコポコと何度も頭を叩かれた。


 衛兵の詰め所で説教を済ませたマーシャルさんは、「それよりも夕食をお願い。こっちは珍しく走り回ってペコペコだよ」と、ありがたいことに助け舟を出してくれた。


 ほっぺたとぷっくりと膨らませながらタムリンが夕食の準備のためキッチンへ消えると、マーシャルさんから「後でちゃんとタムリンに謝るんだよ」と言われたのを、就寝前に思い出したのだが…。また明日でいいか…。


 ベッドの上に寝転がり一人反省会を開始する。


 元々住んでいた小さな村レレと違い、ここは大きな商業都市サナーセル。今日のお兄さんのように悪い人もいる。つまり…疑ってかかれということなのか? 金貨を受け取るときも【鑑定】スキルを使っていれば偽金貨を見破れたし、お兄さんを追いかけるときも【索敵】スキルを使えばもっと楽に探せたかも…。


 スキルは持っているだけじゃ意味が無いんだ。


 何か問題が発生した時こそ、冷静さが必用なんだ。


 自分の間抜けさと馬鹿らしさに不甲斐なさに腹が立って来て…悔しくて…情けなくて…。


 うん! また明日から、頑張ろう!! と、気合を入れて目を瞑る。


 あっ。そうだ…。【索敵】スキルを使いながら寝よう。【索敵】スキルを発動すると、ドアの向うに、タムリンがいることに気付く。


 なんだろう? 何か言いたいのかな?

 でも…今は、悪いけど会いたくないな。ごめんなさい。

 【索敵】スキルを中断して…眠りに就く。


 ◆◇◇◇◇


 翌朝、偶然にもタムリンよりも早く起きることが出来た。謝るチャンスは今しかなとばかりに、一階のキッチンでタムリンが来るのを待ち、タムリンが姿を現すと誠心誠意キチンと謝罪する。


 最初は、プイッと目も合わせてもらえなかったけど、「お姉ちゃんとの約束は破りません」と宣言すると…何故か急にニコニコし始めて、許してもらえた。


「それじゃ…。タムリン。ノアは魔物の厩舎に行ってくるね」と仲直りしたタムリンに言うと、笑顔でバイバイと手を振ってくれた。


 魔物の厩舎には、驚くことにマーシャルさんがいた。


「お、おはようございます!?」

「ノアかい。見てご覧。白姫狐(クィーンフォックス)だよ。昨日、エフェルフィーレの奴からハンターが冒険者ギルドへ売り飛ばしたって聞いてね。朝市に行ったら、見事に予想は的中、競り落として来たのさ」

「うわっー!! 凄いサラサラした毛並み!! 真っ白で綺麗…」

「触っちゃ駄目だよ!」

「わ、理解ってます…」

白姫狐(クィーンフォックス)は気高く敏感でね。その寝顔は主人にしか見せないらしいのさ。とても可愛いという噂だよ」

「うっ、見てみたい!! …です」


 ◇◆◇◇◇


 その日の深夜。こっそりと魔物の厩舎に侵入したが、危険を察知した白姫狐(クィーンフォックス)に睨まれてしまし、可愛い寝顔を見ることが出来なかった…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ