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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第二部 世界から消えた勇者
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第81話

「お前たちが青子鬼(ゴブリン)を嗾けたのか!!」


 青子鬼(ゴブリン)の群れの後からやってきた冒険者たちに、村人が詰め寄る。


「ま、待ってくれ。俺達は、ベール村の依頼で青子鬼(ゴブリン)の調査に来た冒険者だ。青子鬼(ゴブリン)の根城を調査している最中に、突然…穴から一斉に逃げ出し始めたんだ。俺達は、それを追って、ここまで来たんだ」


 誰にも言わないが、彼らは嘘を付いていない。


「私はクレート。ブルス村の農作物を荒らす魔物を討伐するためギルドから派遣された。青子鬼(ゴブリン)は肉食だ。つまりこちらの対象ではなかったのだが確認しておきたい。こんな村の近くに青子鬼(ゴブリン)の根城があったのか? あの数は…緊急クエストレベルだぞ?」


 クレートさんと、向うのパーティーリーダが握手する。


「私の名はヴィルップだ。ベール村周辺で、頻繁に青子鬼(ゴブリン)の姿が目撃されるようになった。元々、ベール村周辺は、白角兎(ホーンラビット)の生息地帯があり、それを狙って集まってきたと推測される。また青子鬼(ゴブリン)の根城は、地下にある遺跡だった。そのため、青子鬼(ゴブリン)が出入りしている箇所以外にも、非常用の出口があると考え、調査していたのだ。勿論、調査中に、緊急クエストレベルだという事実にも気付き、冒険者ギルドへ報告済みだ」


 村人が再び、ヴィルップさんに突っかかる。


「な、なら。冒険者たちはいつくるんだ!? もう、村は襲われる寸前なんだぞ!! お、お前たちが余計な調査をしたから…村は襲われたんじゃないのか!!」


「我々は、青子鬼(ゴブリン)に見つかっていない! 見つかっていれば、生きているはずがないだろ!!」リーダーのヴィルップさんの代わりに別のメンバーが、怒りをあらわにする。


 そんな修羅場に、飄々とした感じで、 他の街から流れてきたFランクの四人組パーティー、新人だが学校を卒業した六人組パーティーが合流した。


「よう、どうした? お前ら柵作りはどうした?」

「その柵の材料である木を伐採に行くところだったが、青子鬼(ゴブリン)の群れが…」

青子鬼(ゴブリン)!? あぁ…。あいつら、何処へ逃げたかと思えば、こっちまで来てたんだ」

「ちょっと待て、どういうことだ!!」


 ヴィルップさんが血相を変えて、 他の街から流れてきたFランクの四人組パーティーのリーダーである剣士ユリウスに詰め寄った。


「はっはぁ〜ん? Eランクを超えている私の幻術魔法と精神魔法について知りたいのかしら? 私の幻術魔法で火竜を作り…咆哮に恐怖の精神魔法を織り交ぜた…オリジナルの術よ?」


 あれは凄かったと、新人だが学校を卒業した六人組パーティーも褒め称える。


「ば、馬鹿な…。遺跡に住むような青子鬼(ゴブリン)だぞ? 遺跡を根城にするだけで、魔物同士の縄張り争いに勝った可能性があると何故思わなかった? 何故、数匹だと認識した!? き、貴様ら、全員身柄を確保する!!」


 リーダーのヴィルップさんの表情は、怒りから冷酷な戦死のソレへと変わる。Cランク冒険者…それがヴィルップさんの実力だ。到底、他の街から流れてきたFランクの四人組パーティーでは太刀打ちできないだろう。


「止めろ。ユリウス。お前らは冒険者の…初歩的なルールすら守っていない」

「けっ! なら、クレートさんよ、この依頼は合同で受けたんだぜ? お前らにも責任があるってことだろ?」

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