表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第二部 世界から消えた勇者
78/243

第78話

 冒険者ギルドの講習では、木材ありきのシュチュエーションだったが、伐採からスタートするらしい。樹木の選別後、伐採して…運搬? 製材して…乾燥も必用なのかな? あれれ? 木材だけで、かなりの日数が必用になると思うけど?


 村の近くにある森には、強度のある広葉樹が密生しているが、重量があり運搬には苦労するとのこと。


 ノアは体力系な仕事が一番不得意じゃないか! 赤巨熊(レッドタイタン)多脚馬(スレイプニィール)などを複数捕まえてきて、伐採した樹木を運搬させる? あぁ…どうしよう…。


「ノア、伐採から製材までは村の人たちにお願いした。俺達は護衛だ」剣士のマルティンの言葉にほっとした。


「涙目になるぐらいなら、もっと鍛えておけよ」

「お兄ちゃん。ノアは後衛職ですよ!」


 村にも護衛が必用だと判断して、ヴォルフたちと同年代のDランクの五人組パーティーが村を護衛し、伐採と運搬の護衛は、伸び盛りのFランクの四人組パーティーとノア達のパーティーとなる。


「30分後に出発したいのだけど、こちらのパーティーは大丈夫かな?」


 伸び盛りのFランクの四人組パーティーは、20代前半で構成されたパーティーだ。お兄さん的な感じで話しやすかったりもする。ノアは会話しないけどね。


「はい。問題ありません。護衛対象の構成などは?」

「うん。伐採した木の運搬方法の問題点は、大きさと経路なんだ。伐採した木を運ぶためには馬車が必用。しかし、森までの経路には、道と呼べるものがない。なので、馬車で行くにしても、途中で車輪などが故障する可能性が高い。でも、うちのパーティーの魔法使いなら、伐採した木を馬の側面に縛り付けられる程度の大きさに切断できることを伝えると、村人たちから、馬が四頭、村人が八人でいけるだろうと回答が返ってきたんだ」

「木を切断できる魔法ですか!? 凄い威力…です…」魔法使いのレナータが反応する。


「うちのコリーの得意な魔法だからね。それにレナータさんと10歳近く離れているんだ。実力の差に焦る必用はないよ。目標を立て、日々努力を続けることが大切なんだ」


「はい」とレナータは素直に返事をしていたが、その杖を握る手には、自分の未熟さに腹を立てているのか、力が篭っていた。


「しかし、あの人、レナータの名前も知っていたぞ」とノアが呟くと、「ノアが馬車の中で寝ているときに自己紹介をしてたんだよ。ちなみに、あの人じゃなくて、クレートさんだ。覚えておけ」とマルティンにツッコまれた。


 隊列の先頭は、クレートさんとマルティン。次に徒歩の村人が4名。その後ろにクレートさんのメンバーが2名と、レナータとクレートさんのところの魔法使い。またその後ろに騎乗した村人と馬。最後尾はノアと灰刃狼(ブレイドウルフ)のアウギュスタ。

 

 圧倒的な索敵能力とアウギュスタの警戒により、道中に危険がないと判断し、気を緩めるノア。


 う〜ん。まいったなぁ…。


 つい先程、村を出発するまでアウギュスタを枕にして寝ていた時の出来事だ。


 大きな狼を連れたノアは、冒険者の中でも浮いた存在だ。そして体躯の小さな男子である。女性としては中の上ぐらいの幼顔の可愛い系。男性となると中性的な顔立ち…そこそこイケメンとなる。刺激の少ない村に住む思春期の恋に恋い焦がれる少女には、無口なノアは圧倒的な非現実感の物語の主人公に見えるらしい。レレ村出身のノアにはわからんでもない。


『ノアさん。一目惚れしました。結婚してください』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ