第77話
ヴォルフたちと同年代のDランクの五人組パーティー、伸び盛りのFランクの四人組パーティー、他の街から流れてきたFランクの四人組パーティー、新人だが学校を卒業した六人組パーティー、そして、ノア達三人組のパーティーだ。
特に問題を起こすようなこともなく、11人ずつに分かれて、2台の馬車で出発した。
ノア達の馬車には、伸び盛りのFランクの四人組パーティー、他の街から流れてきたFランクの四人組パーティーがいる。
まずは、恒例の【特定】スキルにより、ノアへ悪意を持つ者がいないか確認する。【特定】スキルもランクがGからDにランクアップし、特定範囲も半径4,000mという小さな街ならば全体を特定することが可能となっていた。特定する条件や範囲を絞り込まないと、頭が破裂しそうになる程の情報量だ。
数名から敵意を感じ取ったが、脅威となるほどでもないが、狭い馬車の中であり、相手の間合いに入っているため注意が必用だ。
【鷹目】・【狼鼻】・【豹耳】などのスキルで僅かな兆候にも気を使い、いざとなれば【結界】や【回避】を発動可能にしておく。
これらの作業は、冒険に出ているからではない。日常のことなので、然程、ストレスも疲労も感じない。灰壁馬の毛皮製の外套のフードを深く被り寝たふりをする。雰囲気作りは、Fランクの2パーティーの先輩方に任せる。
そして、打ち解ける様子もないまま日没前に農村へ到着する。村は歓迎ムードで冒険者たちを迎え入れてくれた。各パーティーのリーダーも社交辞令を理解っているようで、丁寧に村長と挨拶していた。和やかな雰囲気のまま一日目を終えた。
二日目に事件は起きる。
他の街から流れてきたFランクの四人組パーティーと、新人だが学校を卒業した六人組パーティーが、きちんと依頼内容を確認していなかったため、柵作りに難色を示したのだ。
「討伐依頼じゃないのかよ!? 俺達はGランクだ。数多く依頼を熟さなければ飯にもあり付けないんだぞ? やってられねぇーよ!」
「このガキどもの言う通りだ。柵作りなんて冒険者の仕事じゃねーだろ? 村人でやれよ。日当で考えたら、あの報酬じゃボランティアじゃねーか!!」
まぁ、良くも自分のミスを棚に上げて、これだけ言えたもんだと感心する。
「お前らもそう思うだろ?」とマルティンに振られたが、「俺達は柵作りまでも依頼内容だと把握しているし、パーティーメンバーに柵作りの講習を受けてもらっている」としっかりと答えた。本当は、「お前らの確認のミスだろ?」と言いたいのだろうが、ちゃんと我慢していて偉い。
「なら、討伐班と柵作成班に分けようぜ。魔物なんて、俺達と、この新人パーティーで十分だ。おい、いくぞ!!」
了承もなしに勝手に決めて出て行く、流れてきたFランクの四人組パーティーと、新人だが学校を卒業した六人組パーティー。
「大丈夫かよ、あいつら。魔物の種類が複数だってわかってんのかよ?」
マルティンの呟きに、 ヴォルフたちと同年代のDランクの五人組パーティーが反応する。
「流石、ヴォルフたちの教え子、ちゃんと理解しているみたいだな。セルソたちも、柵作りで問題ないか?」
「はい。何分、魔物たちの種類が多いので、完全に討伐できるかわかりません。柵を作り終えた後の事も考えて、簡易的で費用のかからない魔法陣を柵に組み込もうと考えていました」
次の世代の注目株と言われている、伸び盛りのFランクの四人組パーティーは、ノア達の上をいっていた。




