表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第二部 世界から消えた勇者
76/243

第76話

「今回は、お前ら三人だけだ。どうだ? やってみるか?」酒臭いヴォルフが、ニヤニヤと笑う。何か企んでいる顔だ。


「あぁ! 任せろ!! 三人どころか、俺とレナータだけで十分だ! ノアなんかいらねぇ!」


 身長の高い剣士のマルティンは、ノアを見下ろしながら言った。


「そうか。任せたぞ、マルティン」兄妹で十分と言うなら、ノアの出る幕はない。


「はぁっ!? お、おい…。ノア、待てよ…。こ、こういうときは…だな。マルティンこそ不要! ノ、ノア一人で十分だ!! とか…言うのが、マナーだろ?」


 はぁ…。めんどくさ。何なんだよ。何がしたいのか…。男の子っって、よくわからない。


「まぁ、頑張って来い。マルティン」ペチッとマルティンの肩を叩く。


「ノア…。ごめんなさい。馬鹿なお兄ちゃんを許して…。機嫌直して、一緒に行こう?」

「依頼内容も知らないうちに、姉妹で十分とか言ってる馬鹿なんかと? 命が幾つあっても足らん」


 ここぞとばかりにマルティンにとどめを刺しておく。


「悪かったよ。ノア。ちょっとテンション上がっただけだ。頼むから一緒に来てくれ」


 長い前フリが終わり、依頼内容を確認する。『農村を荒らしている魔物たちの討伐と対策』?


「農村の規模が不明。被害状況も不明。対処の魔物も不明。魔物の大凡の数も不明。さらに対策って何だよ。胡散臭い、臭すぎるぞ?」

「出たよ。ノアの悪い癖だぞ。疑り深すぎる。魔物のことなんて、素人の村人には、わからないだろ?」

「でもお兄ちゃん。この依頼さ。人数とか期間も書いてないよ?」


 三人は息ぴったりというように、ニヤニヤしているヴォルフを見た。


「何だ? やらないのか? うん? 俺は…どっちでも良いんだが…」

「よるよ! やるに決まってる。ノアとレナータがグチグチ言ってるだけだ」

「それじゃ。レナータが気が付いた通り、他の冒険者も参加する可能性があり、長期間の依頼になる可能性もある。準備はしっかりと整えていくか」

「おい、何で、ノアが仕切ってんだよ。お前、どうせ、他の冒険者と会話すらしないんだろ? 俺がリーダーやってやるから、大人しく参謀役に徹していればいいんだよ」

「はいはい。リーダーさん、仰せの通りに」

「お兄ちゃん。農村について、冒険者ギルドに問い合わせてみましょう。農村の位置や環境がわかれば、食料を森等で調達できるとか、持っていく必用があるか、判断できます。ついでに詳しい被害状況も聞いてみましょう」


 冒険者ギルドに問い合わせた結果。複数パーティーによる討伐と村周辺に対魔物用の柵を作る依頼だとわかった。魔物の種類は、作物の種類ごとに狙ってくる魔物が異なる可能性ありとのこと。また

食事は村で用意してくれるが、それほど期待しないほうが良いとのこと。そして、出発は四日後、他のパーティーと合流して、冒険者ギルドが用意した馬車で農村に向かうことなっていた。勿論、護衛はなし。


「取り敢えず、携帯用保存食は、持って行くか」

「柵なんか作ったことないな。おい、リーダー。冒険者ギルドの有料講習に参加するか?」

「う〜ん…。実費だよな。約束だから聞かないが、ノアの報酬が出ないのがキツイ」

「うっ! そ、それは…返す言葉もない。なら、俺だけでも受けてくる。後で俺が、お前らに教えれば良い」

「私も実費で受けるわ。お兄ちゃんは、その他の準備をお願い。冒険者ギルドで馬車で持運び可能な量を聞いてから、いろいろ購入してね。買っても運べないとか最悪だからね」

「リーダー。それと、農村で作っている作物と、それを好き好んで狙う魔物について調べてくれ」

「おいおい。リーダー使いが荒いぞ!?」


ノア達は、ヴォルフの「依頼は準備で達成率が変わる」という教えをしっかり守って、行動を開始した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ