第66話
二つの太陽が容赦なくノアを照らす。次の街までどのぐらい歩くか知らないけど、取り敢えず歩くしか無い。かろうじて道だと思える道を歩く。歩き慣れない道の上、魔物や追手に見つからないようにと緊張の連続であり、ノアの体力も精神力も限界に近い。
やがて大きな街道に出ると、ノアも少しだけ安心して、自分の体調などを気にする余裕が出て来た。丁度いい木陰を見つけると、街道から見えない位置に座る。
「お腹も減ったなぁ…」と減っこんでしまったお腹を撫でる。そして、披露の所為か寝てしまいました。
ハッ!? 【索敵】スキルに銀溶液の反応がっ!? 今は敵意のある人や魔物だけに絞っている。つまり銀溶液は、ノアを攻撃しようとしている??
何処にいるのか探してみると、頭上の枝からダラ〜っと、溶けるようにぶら下がっていた。下手に触れると衣服を溶かされるので、その場から急いで離れる。
無視して先に進んでも良いんだけど。
【呼魔】スキルを発動して、銀溶液のペルペトゥアと白姫狐のカルメンシータを呼び出す。
「お願い。守って!」
そしてぶら下がる銀溶液に【従属】スキルを発動する。予想通り何回かは抵抗されたが、流石にランクCだけあって、ノーダメージな銀溶液でも従属できた。
そして、ペルペトゥアが新しい銀溶液を飲み込むように覆い尽くす。融合は無事成功して、小さめでコップ一杯分ぐらいのサイズになりました。
銀溶液のペルペトゥアを肩に乗せて、白姫狐のカルメンシータには、満遍なくモフモフしたあと【巣魔】スキルで…これって…封印なのかな? 消えて? 帰って? もらいました。
あまり休憩でき無かった気がする。でも、【隠密】スキルを発動し街道に戻ると、休憩前と違って、行き交う商人や旅人がチラホラと目につき始めた。
歩きながら問題を整理する。この街道を進めばどのぐらいで次の街に到着するのかという問題です。故郷のレレ村と商業都市サナーセルでさえ、乗り合いの馬車で2日の距離だと考えると、やはり食料と水が必要だ。
ちなみにノアは街道を歩いていない。【隠密】スキルを使用しているため、他人から認識されていないため、馬車などに轢かれる可能性があるので、街道の見える草むらを歩いている。
「はぁ…。もう歩けないよ」
体力Fで筋力Gなのだ。一年間働いても一向に上がる素振りを見せない体力と筋力。ここまで頑張って夜通し歩き続けられたのが奇跡なのである。
「生きて操り人形となるか、死んで全てを終わらせるか…。そんな理不尽な選択ばかり!! ここは多少悪いことをしても許されると思うのですよ!?」と自分を言い聞かせるたノアは街道を眺める。
狙いは幌のない荷台が見える馬車だ。【暗視】と【隠密】はタムリンやリオニーに鍛えられたおかげでランクCまで上がっている。
『勝手に荷台のお邪魔します』作戦なのです。
バレたときは【絶界】スキルで逃亡するのです!!
街道沿いで待つこと一時間、樽を大量に積んだ馬車が来ました!!
馬車が通り過ぎるタイミングに合わせて街道に出る。そして荷台に手をかけて…ジャンプ! 上半身が荷台に乗っかり、足がブラブラします。
頑張れ筋力G!! お前なら出来る!!
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●名前:ノア(人間・女性10歳)
●職業:商人(ランク:F)、スキルポイント:4
○能力:体力F 筋力G 知力G 魔力G 運気E
○評価:商才F 人脈F 財力G 知識E 健康E
○習得:看破F 特定F 従属C 暗視C 隠密C
念話C 検魔C 治魔D 回魔D 解魔F
呼魔E 巣魔E 強魔F 結界C
○状態:肉体疲労、精神疲労、寝不足、空腹
◎固有:拡張S 最適S 補正S
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