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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第一部 使い魔店の看板娘
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第48話

「何がどうなっているんだい?」


 市場から戻ったマーシャルは、取っ組み合いをしているノアと男の子の頭を鷲掴みにする。


「お、起きたら…いたんです!! ペルペトゥアがノアを守ってくれたんです!!」


 鷲掴みにした腕を組み訝しげな目で男の子をみるマーシャルさん。


「な、名前は?」

「『北の森食堂』のカスト」

「『北の森食堂』ね…。聞いたことがあるわね…。それより、ノアにへんな事してないだろうね?」

「な、何もしてないよ!! い、いきなりその魔物が襲ってきたんだ」

「勝手に敷地内に入った理由は?」

「え、あ、そ、その…これを…渡したくて…」


 カストはノアに手紙を押し付けると走り去ってしまった。


「て、手紙?」


 ノアは渡された手紙を読む。


『はじめまして。『北の森食堂』のカストです。


 教会の朝の礼拝で、何度も話しかけようと思ったけど、

 いつも女友達と一緒で一人になるタイミングを見計らってた。


 だけど仕事の時間になるまで、女友達と話し続けているノアに

 話しかけるタイミングがなかった。


 昨日はとんでもない事件に巻き込まれたと聞いて、

 心配で全く寝れなかった。


 ノアの仕事の評判が高くて、結婚を申し込む男たちが増える前に、

 それよりも前に好きになった俺が、結婚を申し込む。


 ノアが仕事で稼げそうだから結婚したいと思ったわけじゃない。

 勿論、仕事をがんばってるノアは凄いと思う。


 純粋に好きです。結婚してください。』


 顔が真っ赤になるよりも真っ青になったノア。


「マ、マ、マ、マ、マ、マ、マーシャルさん!? これ!!!」

「あぁ…。完全なプロポーズだねぇ…」

「ノ、ノアはまだ10歳ですよ?」

「知らなかったのかい? 10歳であれば結婚は可能だ」

「ど、ど、どーすれば!?」

「落ち着きな。取り敢えずハーブティーでも飲んでリラックスしてから話そうか」


 中庭のテラスで、ジャスミンティーをゴクゴクと飲むノア。


「良いかい。基本はノアの人生だ。私がアレコレ言うつもりはない。だが、前にも言った通り『ムーンレイク使い魔店』の看板娘として、ノアは十分過ぎるぐらい頑張ってる。そんなノアにいつまでもいて欲しいと願ってる」


 突然、泣き崩れたノアにマーシャルさんが驚き、泣き止むまで待ち訳をノアに尋ねた。


「マーシャルさん…。ノア…ちゃんと、マーシャルさんの期待に応えられているか、ずっと不安でした…」


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