第47話
「ね、寝坊しちゃいましたぁ…」
一階に慌てて下りると、マーシャルさんはパジャマ姿で、コーヒーを飲んでいた。
「あぁ…。今日は臨時休業にしたから、寝足りないなら寝ておいで」
「タ、タムリンお姉ちゃんは…帰ってきてないのですか?」
「ヴェラー様の護衛が領都から来るまでは帰れないかも知れない」
「そ、そんなぁ…。タムリンお姉ちゃんだって疲れてるのに…」
「それまでは、私が家事をするつもりだよ」
「えっ!? そ、それは駄目です。ノアが…」
「ノアが家事をするつもりかい? 残念だが、ノアの家事スキルは壊滅的だ。大人しく、いつも通りにしてておくれ」
「はい…。厩舎に行ってきます…」
「銀溶液の…ペルペトゥアだったかい? 厩舎に連れて行くんじゃないよ」
魔物たちが、必用以上に意識したり、興奮するためだ。ペルペトゥアを自室のベッドの上に置いてから厩舎へ向かう。
◆◇◇◇◇
遅い朝食を食べ終えたノアは、中庭の椅子に腰を掛けて、ペルペトゥアを抱っこする。
「ノア…ちゃんと出来てるのかな?」
目をつむり。う〜んと考える。
習得スキルは目に見えて上がっているのだが、評価は一向に上がらないのだ。
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●名前:ノア(人間・女性10歳)
●職業:商人(ランク:G)、スキルポイント:1
○能力:体力F 筋力G 知力G 魔力G 運気E
○評価:商才G 人脈G 財力G 知識G 健康F
○習得:鑑定A 索敵A 従属F 暗視D 隠密D
念話C 検魔C 治魔E 回魔E 解魔G
○状態:疲労
◎固有:拡張S 最適S 補正S
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まぁ…取得スキルは、勇者スキルのおかげだから…ね。
急に日差しを誰かが遮った。誰かというかマーシャルさんだろうと目を開ける。
「ノア。ちょっと市場に行ってくるけど、ノアは外出禁止だからね。それとタムリンがいないんだ。誰か来ても居留守を使うんだよ。ノアもちょっとした有名人なんだからね」
「ノアがですか!?」
「まだ一日も経ってないのに、ある事ない事…どんどん噂が独り歩きして大きくなってるよ」
いやいや…ノアが噂になるよう事って何だろう?
マーシャルさんが出ていくと、ノアはウトウトと寝てしまった。
「うわっ!?」という叫び声に驚き起き上がる。
「だ、誰!?」
教会の礼拝で見かけたことがある男の子が、尻餅をついていた。
「あっ。お、俺っ! な、何もしてないから!!」