表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第一部 使い魔店の看板娘
4/243

第4話

 覚えることだらけで、顔に余裕が無くなってきたのか、マーシャルさんがポンポンと頭を叩く。


「大丈夫。最初は失敗もばかりで落ち込むかも知れないが、真面目に頑張っているならば、追い出したりしないから頑張るんだよ」

「あ、ありがとう…じゃなかった。ありがとうございます…」


 涙が出そうになるが、来て早々に泣くわけにもいかず、グッと堪える。


 ◆◇◇◇◇


 ぐぅ〜っとお腹の鳴った。そういえば朝食も食べてなかったな…。


 時間に煩い両親だったので、毎日決まった時間に昼食だったのだが、マーシャルに動く様子はなかった。このあとも待たされて、さらにそこから昼食を作り出したら一体何時になるのだろうか?


 コンコンと裏口を叩く音がして、ゆっくりとドアが開く。


 腰まである黒髪の赤い瞳の同い年くらいの少女が入って来た。


「あら、タムリン? 昼食の用意が出来たのかい?」


 タムリンと呼ばれた少女は、コクリと頷く。


「ほら、ノア。外のプレートを準備中にして、白角兎(ホーンラビット)を店内に入れな」

「う…、はい」


 作業が終わったノアは、少女の姿を探すが何処にもいなかった。話したかったのに残念だ。マーシャルさんに連れられ屋敷に入ると、テーブルには食事が用意されていた。


 マーシャルさんに促されて席に着くと、温かいスープをタムリンが運んできた。


「ありがとう」と言ったノアにコクリと頷く。


 料理が揃ったのを見計らって、マーシャルさんがお祈りをする。ノアも真似することにした。家では食事中は黙っているルールだったし、マーシャルさんと食事するのは初めてだ。この家のマナーがわからないので黙って食べることにした。


「ノア、どうだい? 美味しいかい?」


「はい。美味しい。あっ、美味しいです。どれもしっかりと味が付いていますし、お肉も街で食べていたのと比べ物にならないほど柔らかいです」


「そうかい…。この料理は、全部タムリンが作ったんだよ」


 タムリンを見ると、タムリンは恥ずかしそうに俯いた。


「あぁ。そうだね。この子の名前はタムリン。元々、魔法都市ヴェラゼンで学園に通うほどの優秀な魔女だったんだ。でもね、ある実験中に魔術が暴走して、声を失ってしまったんだよ。まぁ、いろいろあって、この家でメイドとして働くことになったんだよ。確か…ここまでは教えても良かったんだよね?」


 タムリンは悲しそうな顔でコクリと頷く。


「えっと…」

「自己紹介は必要ないよ。もう話してある」

「何て説明したの? ですか…。 気になります」

「何って…紹介状に書いてあることぐらいだよ」

 

 折角、タムリンと話せる機会だったのに…。残念だが仕方がない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ