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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第一部 使い魔店の看板娘
34/243

第34話

 草原の半ばあたりで脚が悲鳴を上げ始めた。それは体力的にでもあり精神的にでもあった。

 

 一見すると美しい緑色の絨毯のように見えるが、その地面は凸凹していて、とても歩き難い。

 また流れる風で波のように揺れる草花は、【索敵】スキルを発動しているノアでも、まるで魔物が移動しているのではという気がしてならない。


 肩で息するノアを気が付いたレインさん。


「ノア、疲れたら報告する約束」

「でも…」

「よし、ちょっと休憩だ」と戦士のボニファーツが宣言した。


 まだ街の外壁がしっかりと見えるぐらいの距離だ。


「ごめんなさい…」とノアが呟くと。


「いや、目的の場所は、丘陵地帯に入って直ぐの場所だ。ここからも見える」 


 戦士のボニファーツが指差す方向に注視して、【索敵】スキルを発動するが魔物の反応は無かった。Bランクならば遮蔽物の有無に関わらず800m以内なら魔物の有無が、500m以内なら魔物の種別がわかる。


(はい。ノア。水分をしっかりと補充してね)とタムリンが念話で話しかながら革製?水筒を渡してきた。


「草原の風で涼しいが、太陽の日差しが強い。それに緊張や慣れない地面で大量に汗をかいているはずだ。水分補給は重要だ」戦士のボニファーツは当たりを警戒しながら説明してくれた。


「ほう? それは…空間魔法なのかね!? しかも無詠唱で発動させるとは…。き、君は…やはり…あの…」


 タムリンはコクリと頷く。


 無詠唱で水筒を空間から取り出すタムリンに目を丸くする魔術師のゲレオンさん。やはり魔法や魔術の世界では、タムリンは有名人なのだろうか。


「凄まじい…実力だ。これで全盛期の半分以下の実力なのか…」

「おい、ゲレオン。過去の詮索はマナー違反だぞ。しかも子供に対して、大人がするようのものじゃない」ボニファーツが窘める。


「あっ、いや…。すまん…。つい…」

「はぁ。これだから魔術師って奴は…」


 弓士のライナーさんが、魔術師のゲレオンさんを茶化す事で、タムリン一緒に笑い…場の雰囲気を和やかなものに変えた。


 大人って凄いなとノアは感心した。


「ノア! 汗を沢山かいたんだって!? どれどれ…臭いのか?」


 ヒノデリカが抱きつながらクンカクンカと匂いを嗅いできた。


「ちょっと!? ヒノデリカ…貴方何をしているの!!」とリオニーが二人を引き剥がす。


「いや、ほら。俺って鍛冶屋だからさ。大量に汗をかくんだよ。それで…汗の匂いってのが気になっててな。普通…どんな匂いがするのかって…」


 顔を真っ赤にしているノアの頭を、いい子いい子するタムリン。


「まぁ…。汗の匂いはしたが、臭いとは違うな…」

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