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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第六部 強くてニューゲーム!!
242/243

第242話

 ノアはここまでかと諦めの表情であった。マーシャルさんには悪いが…。もう…。


「結界!? 我がその程度で止まるとでも!?」


 !? セレスも二人のタムリンも…感じたであろう。大陸中に大量の魔物が召喚されたのだ。


「フフッ!! ハハハッ!! どうする? 如何に貴様らの戦闘力が高くても…全ての国…いや、街や村は救えんぞ?」

「それがどうしたというのですか? 私達は貴方と戦っているのですよ?」


 こいつら…邪神よりもたちが悪い。人間界を巻き込むなと…。ノアは怒りで気が狂いそうだった。ノアはリオニーの世界の叡智(オルビシフィア)の杖を奪い、世界の理から外れた世界へ全員を引きずり込む。


 そして、ノアは宣言する。


「この方法で、納得できないのであれば、全員を消滅させます」


 ノアはタムリンよりも遥かに位の高い邪神であり、ノアが…人であることを諦めれば、邪神に生まれ変われるのだが…。


 もしかして…創造神は…これを狙っている!? ノアは創造神の掌の上で遊ばれている事に気付く。ならば…是が非でも成功させなければ…。


「良いですか? ジュディッタとリオニーは、リーダーの中に芽生えた悪意が許せないのですね?」

「その通りだ」

「兄妹とも思われなくない」

「ぐっ! 貴様ら!!」

「少しだけ黙ってて!! そこで、ノアは…リーダーの悪意をノアに封じ込め、代わりに…ノアの心臓で眠る…タムリンの欠片である月妖精(ムーンチャイルド)をリーダーと融合させます。それで純真なるタムリンが生まれるのです」


 ノアは魔王スキルである勇者スキルのまま保持できる心を持ち、悪意を受け入れる邪神の力もある。最悪、邪神となった場合には、この世界から去ってしまえば良いのだ。


「そして、三人のタムリンは…天界に帰ってください」


 本当ならば、ジュディッタとリオニーの体を返して欲しかった。しかし、タムリンの意思ではない、本人の意思に尋ねたところ、そのまま天界に行くと言い切ったのだ。では、リーダーに乗っ取られたリリアナは? というと、同様の答えだった。


 タムリンの何にそれほど惹かれるの? 不思議でならない。だが紛れもない本人の意思であり、ノアにそれを止める権利はない。


 ノアはリーダーの胸に手を当てる。そして、眠っている月妖精(ムーンチャイルド)を覚醒させ、リーダーの悪意と入れ替わるように伝えた。


「今までありがとう。月妖精(ムーンチャイルド)…。貴方のおかげで生き返ることが出来たわ」


 月妖精(ムーンチャイルド)の代わりに入ってきた悪意は…本当に小さな子どもの悪戯程度を引き起こす悪意であった。こんな小さな悪意のために、何万人が苦しんだことか…。


「さて、世界の叡智(オルビシフィア)の杖で、三人を天界に送ります。そして、この世界と切り離します」


 ノアにも不思議だった。あれだけ想い助けようとしていたジュディッタ、リオニー、リリアナとの別れなのに、何故か…居なくなることに、ほっとしてしまっていたのだ。


 これで良かったのかしら? これが正解なの? 理解らない…。


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