第239話
セレスティノ・ヘルメスベルガーは、ノアからヴァルプルギスの夜会のリーダーの戦術やスキルについて、びっしりと書き込めれたレポートを渡されていた。
勿論、穴が開くほど読んださ!!
セレスが発動した【封印】スキルに、リーダーは微笑む。
「この程度で我が…」
リーダーが言い終わる前に、【転位】スキルでリーダーの背後から、爆炎を【付呪】した剣で斬りつける。
「ぐわっ!? 貴様…」
また【転位】でリーダーの背後に回ると同様に斬り付けた。リーダーの混乱した顔を見て、セレスはリーダーが未だに【封印】スキルの意図を読めてないと知る。
驚異的な生成能力を失っているリーダーに対して、さらにステータスを半分ほど封印したのだ。しかし、このリーダーの戦闘能力は、ノアに見せてもらったあの映像の人物と同じとは思えない程、弱かった。
これから数年後、何処でどのように力を手に入れたか知らぬが、お前はここでお終いだ。
【魔術】を剣に【付呪】、【魔術】を剣に【付呪】、【妖術】を剣に【付呪】…これは、ノアが考案した必殺技と言うやつだ。
魔法都市ヴェラゼンに聳える十一塔に象徴される十一の力を剣に込めて放つ…シンプルだが全てのスキルを高レベルで保持する…多分、俺にしか出来ない必殺技だ。
そして、ノアは『いい? 使うときは、必殺!! シレント・アルス・マグナって叫ぶ約束よ』と俺に無理やり約束させたのだ。
最後の【死霊】を剣に【付呪】詰め終わる。
「必殺!! シレント・アルス・マグナ!!」
光のエフェクトも爆音も何も無い。静寂の中で、ただ…リーダーが消えた。
「終わったのか?」
雷の王と呼ばれる魔術師アルカージーが「リーダーァァァ!!!」と叫ぶ、すると少女リリアナから「クックックッ!! ハーハハハハハッ!!」と少女とは思えない笑い声がする。
「おいおい。貴様ら、我が抜け殻を倒した程度で安心するな。興がそがれる。それにしても…メンディサバル帝国初代皇帝の正当な血を受け継ぐというガキの体は…実に心地よい」
セレスがリリアナに攻撃を仕掛けるが、ノアは…その攻撃をリリアナの代わりに受け止めた。
「そうだ。ノア、お前なら…このガキを守ると思ったぞ」
「強がりを!! どうせ、この場から逃げることしか考えてないんでしょ!?」
「ふっ。この体に馴染んでないからな」
「ノアも…一緒に行く。少し…時間を…待ってなさい」
「おい! ノア、リーダーを逃がすというのか!!」
セレスの言葉が突き刺さる。でも…誰にもリリアナを殺させはしない。
ノアは、ゆっくりとマーシャルさんに近づく。そして、傷口を見てノアは、『強くてニューゲーム』の発動を決意した。この傷口は、治療不可の呪詛の傷だ。聖女の魔法でも治療は不可能だろう。




