第227話
盗賊の頭と盗賊団の家族である女子供たちの扱いをバルテの衛兵たちに押し付ける。そして、ジュディッタを連れて、マーシャルさんに会いに行く。
「誰だいこの子は? それに…」
猫亜人を見て、マーシャルさんは、大粒の涙を流す。この流れは初回でも経験済みだし、ノアはしれっとスルーする。
「アネッテの話しは後にして…今は、この子、ジュディッタの話しをしたいの」
涙を拭ったマーシャルさんは、「どんな話しだい?」と真剣な眼差しとなる。
「血脈を守りし者…古代教会の影の組織らしいの。マーシャルさん何か知ってる?」
「あぁ…。希少な血を守る組織がいると…噂だと思っていたが…古代教会の組織だったとはね…。まさか…その子が?」
「えっと、この世界に影響する神タムリンは、全部で3人? 神? まずは、この世界を作った第一のタムリン、第二のタムリンは…『ムーンレイク使い魔店』のタムリン、第三のタムリンは…私…なんだけど…。私のことは置いておいて、このジュディッタは、第一のタムリンの啓示を受けて、聖女になるはずなの」
「…一体、ノアお前は何者なんだい?」
「それは、別々に話すと面倒だから、後で皆にまとめて話すよ」
「そうかい…」
「で、神の次は、メンディサバル帝国初代皇帝の正当な血を受け継ぐという女の子の存在。それに聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルムの三人について、血脈を守りし者が関与している気がするの」
「だけど…今の今まで、血脈を守りし者は噂程度の存在で、誰も正体を知らなかったんだよ。その証拠を掴むのは難しいね。それほど優れた隠蔽工作が出来る組織であり、実力があるということだ」
「それも…そうなんだけど、マーシャルさん。この組織って、悪い人たちなのかな?」
「どうだろうね…。純粋に血を守る…なら…悪いことではないけど、目的を達成するために人の人生を変えようとする…。まぁ、人のことは言えないね…」
「むぅ…。で、マーシャルさん。お願いが…」
「いいよ。ジュディッタもここで面倒見るよ。元々、タムリンも私の目の届く場所に置いておきたかったのだから、この子が…別のタムリン…信じられないけど…タムリンに近い存在なら、同じことさ」
ノアとマーシャルさんの小難しい話を聞いていて、ジュディッタは猫亜人のアネッテと一緒に寝てしまった…。
アネッテとジュディッタにノアのベッドを占領されてしまい、タムリンのベッドで寝ている。
セレスティーヌ襲撃事件から三週間が経ったないと、タムリンは帰って来ない。帰ってくる時、リオニーも一緒にいるはずだ。そのとき、皆に…初回で起きた出来事を話そう…。信じてくれるか…わからないけど…。
眠りに落ちる寸前で、ノアは気付く。あれ? ノアの出生にも…血脈を守りし者が関与している?
ノアには、特別な血など受け継がれていないが、勇者スキルを持てる…いや、勇者スキルを持つ条件などない。スキルスクロールがあれば誰でも取得可能か…。関与はないな…。
自分の推理は間違ってないだろうと、安心して眠りにつこうとしたとき…。【特定】スキルに反応があった…。
セレスティノ・ヘルメスベルガー!?
全く別の新ルートを進み始めたノアには、セレスティノ・ヘルメスベルガーが、この時点で登場する意味を全く理解できなかった。
どうする? 今のノアならセレスティノ・ヘルメスベルガーでさえも…ワンパンで…。




