第226話
「うーん…。容赦ないな」と感心し、自分で命令しときならがよく言えったものだとまた感心する。
一応、盗賊に生きるチャンスを与えてあげたのだから、それを有効的に活用でき無かったのは、ノアの所為ではない。【看破】スキルでジュディッタの情報を集めながら、ノアは洞窟内の盗賊たちを月弓で葬っていく。
盗賊の頭を銀溶液のペルペトゥアで縛り上げ、攫われたジュディッタの前に突き出した。
「こんにちは、ジュディッタ。痛いところはある? お腹減ってない?」
知らない人に話しかけられて、ジュディッタは、黙り込んでしまった。
「ノア、怖がらせては駄目だ」
血まみれの猫亜人のアネッテに言われたくない。
「ジュディッタ、ここからで出てお家に帰ろう! 帰るときはお空も飛べるよ? ニャン?」
耳をぴょこぴょこ、尻尾をフリフリ、ニャンニャン言語で、子供のハートをガッチリと鷲掴みにしたアネッテ。
「うん…。帰る! お空も飛ぶ!!」
わーい! と足にしがみつくジュディッタを肩車すると、アネッテは頭を指差して聞く。
「ジュディッタ。このおじちゃんは、ジュディッタのパパ?」
「ううん。知らない人」
「そっかー」
馬鹿な…。ノアは…これでも孤児院を作ったんだぞ? アネッテなどに負けるのはおかしい…。いや、そういう場合ではない。
冷静になれ!! ノア!!
そうなんだよ…。
頭によるジュディッタの洗脳を初回では疑うこともしなかった…。
だから、何も確認しなかった。
「アネッテ、ジュディッタと先に表に出て遊んでて」
「「はーい!!」」
【看破】スキルにより盗賊の頭の記憶を探る。危険を犯してバルテに住むジュディッタを誘拐する。何のために? 血脈を守りし者? 初めて耳にする単語だ…。
縛られている盗賊の頭に質問を投げかける。
「何故、ジュディッタを狙った?」
「…」
「ペルペトゥア!」ペルペトゥアに指の骨を折らせた。
「ぐはっ!?」
「何故、ジュディッタを狙った?」
「…」
「ペルペトゥア!」
「ぐはっ!?」
「何故、ジュディッタを狙った?」
「う、裏社会の噂だったんだ…。血脈を守りし者のが、世界各地で…神だか、王だか、そ、そんな…高貴な血を持つ…子供たちを生み出し、育てていると…」
「その噂の出処は?」
「わからねぇ。酒場で偶然聞いただけだ。ま、街の酒場にいる連中なら、全員が知っている…そんな噂だ…」
「えっと…その噂とジュディッタは、どうして結びつくのですか?」
「噂が独り歩きして…興味を持った情報屋が…調べ始めたんだ。その結果…血脈を守りし者は古代教会の影の組織だと判明して、酒場で馬鹿騒ぎしていたからな…。俺達は教会に出入りする人間を監視して…教会関係者でもない…不自然に出入りするジュディッタの両親を見つけ出したんだ」




