第225話
おまたせしました。
ここから13回目のオリジナルストーリーとなっていきます。
キルスティ共和国にある大きな川を挟む小さな都市バルテの遙か上空、黒飛竜のカスの背中に猫亜人のアネッテとノアの姿があった。
「ノア、ジュディッタ見つかった?」
アネッテの足元には、大量のおやつが山積みにされていた。
「今到着したばかりでしょ!」
【転位】スキルでバルテに瞬間移動した後、街にジュディッタがいないことを確認すると、アネッテに屋台へ引きずられ…大量のおやつを買わされたのだ。
「やっぱり…生まれながらにして盗賊を生業とする一家なのでしょうか?」
「どうすんの? 殺すの? 捕まえるの?」
「それが…わからないの…」
「殺そうよ。だって、沢山の人殺してるんだよ? ジュディッタの親だからって…」
「それでは…一緒になってしまうでしょ!!」
「リリアナとジュディッタは、どちらかしか助けられないって、ノアが言ってたんだよ? もうリリアナで良いんじゃない?」
「二人共助けたいの!!」
「だって…12回も失敗してるんだよ?」
「いた! やっぱり…盗賊なんだね…」
ノアは盗賊たちが根城にしている洞窟の目の前に降り立つ。盗賊たちは飛竜の襲撃に驚き弓や魔法で迎撃してきたノアの【結界】スキルですべて弾き返したおいた。
「な、なんなんだよ、このガキは!?」
洞窟の前には20名ほどのガラの悪い男たちが、怯えつつも根性をアピールするために、誰よりも一歩前に踏み込もうとしていた。健気だなとノアは思った。
「私はノア。頭に用があるの。ジュディッタのお父さんよ? 呼んで来て」
「はぁ? うちの頭に子供なんていねーぞ!?」
「おい、ジュディッタって、あの攫ったガキじゃねーか?」
攫った? ジュディッタの両親は…盗賊じゃない?
「てか、糞ガキ! 家に帰れ! ガキだからって、いつまでも優しくしてやらねーぞ?」
一応、子供には優しいのかな? うん? でも…子供を攫ったって…。
「では、そのジュディッタを買いましょう。バルバストル金貨200枚しかありませんが…」
「ガキ…馬鹿か? お前も攫っちまえば、、金貨200枚も頂いて、人質もそのままだ!」
盗賊の一人がノアに手を伸ばすが、アネッテの手刀に叩き切られる。
「アネッテ…。血飛沫が飛びます。病気持ちだったらどうするのですか!!」
ノアの結界にベチャッと吹き出した血が吹きかかり、だら〜っと垂れ落ちていた。うん、気色悪い。こいつらの記憶を【看破】スキルで調べたのだけれど、胸糞悪すぎた…と、言葉遣いも悪くなるほど怒りが…。
「アネッテ、目の前にいる全員を殺しなさい」
「は〜い!」
まるでトマトを貫くようにアネッテの拳は、盗賊たちの体をビュシュ、ブッシュと簡単に貫いていく。




