第224話
リオニーとタムリンの絆を深めるため、リオニーが連れてきた白角兎を治癒するイベントを初回と同じルートで進んだ。これは【回魔】を勇者スキルで上位スキルの【蘇魔】にして治療した結果、リオニーが異端審問官として、ノアを裁こうと葛藤していた時、タムリンがキレて登場する事件だ。
それからまた幾つかのイベントを終わらせ、ほっと一息つく。ベッドの上で手帳を読み返していると、次に来るイベントは、後に大きな影響を及ぼすイベントである事に頭を抱えた。
ノアが冒険者レインさんたちと、銀溶液のペルペトゥアを捕まえるイベントだ。このイベントには、セレスティーヌ襲撃事件として、セレスティーヌ・ヴェラーが深く関わってくるのだ。
えっと…登場人物は、レインさんたちと、リオニー、ヒノデリカ、あっ…ここでエフェルフィーレさんも登場するのか…。
このイベントが、呼び水となり、ヨハネス・ケルヒェンシュタイナーや聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルムを登場させてしまうのだ。
セレスティーヌ襲撃事件の背景を調べれば、実は襲撃犯は…別の角度から見れば正義だったりもするのだ。ノアが冒険者レインさんたちと街の外に出なければ、セレスティーヌ・ヴェラーは襲撃犯に殺されていた。
ヴァルプルギスの夜会のメンバーなのに戦闘員ではないのだ。それなのに、セレスティーヌ・ヴェラーは、使い魔を連れてなかったのが敗因なのだ。
ここでセレスティーヌ・ヴェラーが死亡すると、後の大戦でヴェラー領地がアンブロス王国から離反することも無くなり、他の領地への働きかけるヨハネス・ケルヒェンシュタイナーの陰謀も失敗するのだ。
ノアにとって良いこと尽くめなのだが、リオニーにとっては、ヴァルプルギスの夜会の悪いお姉様ではなく、ヴェラー領地を治めるエドヴァルド・ヴェラーの愛娘として有名で良き姉のセレスティーヌ・ヴェラーとして記憶に残り、これまた心に深い影を落とす結果となってしまうのだ。
「結局、このイベントは…そのまま初回と同じルートを選ぶしか無いのかなぁ…」と、ベッドの上でうつ伏せになり、足をバタバタさせながら考える。
でも、リオニーもヒノデリカもワクワクしてて可愛いし、タムリンの料理も美味しいし、セレスティーヌ襲撃事件の前は楽しい事だらけなんだよね。
そうだよ、楽しまなくちゃ…。
翌日、長い演劇の主人公になった気分のノアは、大根役者風の棒読み状態で、セレスティーヌ襲撃事件のイベントをクリアする。ちなみに、捕まえた銀溶液をペルペトゥアに融合させました。
ここから物語は一気に加速するんだよね。
物語の流れだけに任せるわけには行かない。ノアは次の休日にジュディッタの両親を調査しに行くことにしている。
出来ることならば盗賊から足を洗わせたい。でも盗賊の頭なんだよね…。ノアが14歳のときジュディッタは11歳。つまり今は…7歳か。もう少し幼ければ、両親を殺しても構わなかったけど…。
兎に角、このタイミングでジュディッタに関わるのは初めての試みだ。
そして、ジュディッタの件が片付いたら、今度はリオニーとタムリンの件だ。全く、こんなに忙しい10歳がいるだろうか? と、プンスカしながら…ノアは眠りについたのでした。




