第219話
『ムーンレイク使い魔店』という手作りの看板を見上げる。13回目だけど、なんだか凄く懐かしいのだ。
ノア…。頑張る!! と、気合を入れ直していると、機嫌の悪いマーシャルさんと再開する。そして、スキルを隠すこと無く全力で働き始めた。
まずは掃除。店内を完膚なきまでにピカピカにする。
「驚いたね…。一体、どんなスキル何だい?」
「【掃除】スキルの上位【清掃】スキルを持っています。勿論ランクはSです。マーシャルさんは、ノアが勇者スキルをもっているから、ノアを雇ったんですよね?」
首を傾げニコリと笑顔でマーシャルさんを責め立てる。
「お前は…一体…」
「賢者マーシャル。数百年前、キルスティ共和国の大都市アロン近郊の森でヒガシヤマさんと出会い二人で生活を始める。そしてダンジョンを…自分だけの世界を作る実験を繰り返すが何故か途中で諦めて、アンブロス王国で…タムリン達を倒せる力…魔法都市ヴェラゼンに聳える十一塔を作り出す。しかし、それは最終手段であり、勇者スキルを持つノアと、神タムリンの生まれ変わりであるタムリンを、自分の手の届く範囲で見守ることに決めた…と、そんなところですよね?」
「私の心を覗いたのかい?」
「いいえ。除くことも可能ですが、そんなことしなくても…知り得る機会が沢山あったのです」
「それで…ノアは何をするつもりなんだい?」
「えっ!? 何をって…。マーシャルさんと同じですよ。何も無い事…みんなが笑っている世界を成し遂げたいのです」
『マーシャルさんを殺害しないと長距離戦術級兵魔導器が放たれる』という運命をノアは、捻じ曲げたいのです!!
「私は…とんでもない化物を作ってしまったのかね…」
「ノアは化物ではありません!! 可愛い女の子です!!」
精霊体ですが…。ちなみにノアの体は『強くてニューゲーム』により、精霊体のままスタートしている。猫亜人のアネッテや不死鳥のエドゥアールも、いつでも呼び出せる状態だ。
「はぁ…。馬鹿っぽいところが…安心させるねぇ…」
「お馬鹿でもありません!! なので、お店の説明も使い魔たちの飼育や販売に関する説明も不要です!!」
「そうかい…。じゃ、楽をさせてもらうよ」
「お任せください!!」
◆◇◇◇◇
本来は、マーシャルさんも店内にいるのだが、ノアが大丈夫だと言い張り、お屋敷でくつろいでもらう。そして、誰も居なくなった店内で、いつものようにカンターの内側の椅子に座り、読書するノア。初日は客が来ないのは確定されているのだ。
ぐぅ〜っとお腹が鳴った。
そろそろ…タムリンとの出会いか…。
タムリンの死亡する未来は変えられない。何故なら、タムリンの呪いは、死ぬ間際に発動するのではなく、『強くてニューゲーム』が開始された時点で、既にタムリンの寿命を削ってしまっているから…。
人の命を操るには、『強くてニューゲーム』並の力が必要だ。それほど命や魂というのは、儚く尊く価値あるものなのです。
店内に入ってきたタムリンは、言葉の話せないため、申し訳無さそうな顔でオイデオイデと手で合図する。
(はじめましてタムリン。私はノアです。これからよろしくね)
【念話】スキルで話しかけると、驚いたタムリンは、目と口を大きく開く。しかし、冷静さを取り戻すと、ニコリと笑って。
(念話使えるのね。正直驚いたわ。私はタムリン。よろしくね)
と、挨拶を返してくれた。
読み直しながら書いているので、連続投稿は難しそうです。
疲れるし…。
詳しく覚えている人なんて居ないと思うけど、
矛盾とかあっても気にしないで、スルーしてね!




