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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
212/243

第212話 ノア編

「あぁ…なるほど。あんたが…ヴァルプルギスの夜会とかいうセンスのない名前のリーダーね。今、ノアは忙しいのです!! 関係ない人は黙っててください!!」


 リーダーを無視して、リリアナの方へ向き直る。


「そういうねじ曲がった正確をしているから嫌われるのですよ?」


 リーダーは、躊躇なく背後から伝説級以上の剣で躊躇なく斬りかかってきた。しかし、振り返ること無く、【結界】スキルである剣による攻撃エネルギーを分散させ、結界で防ぎきれない斬撃の勢いを【回避】スキルで避けきった。


 それでもリーダーに振り返ることはなかった。


「待て。ノア…」

「今度は、セレスですか? 邪魔しないでください。師匠と弟子の再会です」

「駄目だ。近付けさせるわけにはいかない。この距離ならば、ノアに勝ち目がないのは、わかっているな?」

「えっと…。話すことも駄目とか…セレス…何を怯えているのですか?」

「セレスティノは、貴方と私が話す理由など無いと言っているのですよ。師匠…。どうぞお帰りください」


 リリアナに直接言われた!? ちょっと…悲しくなる…。涙が出ないように空を…。


「はははっ! 笑わせるなノア!! 特別に手伝ってやる。我が…その元英雄スキル持ちと戦ってやろうではないか! その間に…好きなだけリリアナと話せば良い。その後は、貴様も我が側室の一員として愛でてやろうではないか!」

「うん? 顔は…タムリンだけど、正確が悪すぎ。却下で。まぁ、セレスは任せます」


 セレスの真横をすり抜け、リリアナと対峙する。


「覚えていますか?」

「はい。『国で一番の権力と武力を持ったとして、何をしたいですか?』…今でもしっかりと記憶にあります」

「リリアナ。貴方は、『孤児院の子供たちに沢山ご飯を食べさせたいです』と答えたはずです。それなのに何故戦争など始めたのですか?」

「血と歴史です。今の私は私だけの命ではないということです。この世界と…簡単に言えば、タムリンたちの兄妹喧嘩なのでしょう。それを仲直りさせてあげたい気持ちと…一族の願いですね」

「そのために多くの関係ない人たちが死んでも良いと? 私は許しません! 言いましたよね?」

「はい。『ノアの目の前に立ち塞がるのならば、例え…青春時代を共に過ごした弟子であったとしても、容赦なく…殺します』と…でも、師匠には…無理です。師匠を殺したくありません」

「これだから…自分たちの目線でしか物事を見れないタムリンたちには…ちょっと頭に来ているのです。自分たちが神だと自負し、この世界を誇るならば、井の中の蛙ちゃんですよ!」


 一歩リリアナから下がり、「猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテ、黒飛竜(ダークワイバーン)のカス、冬狐姫(ヒエムスクィーン)のカルメンシータ、灰狼侍(サムライウルフ)のアウギュスタ、白浮霊(ホワイトレイス)のフェールケティル、鉄巨兵カリブルヌスジャイアントのラヴレーンチェフ!!!」と叫びながら使い魔を召喚する。


「あの時から進歩がありませんね! 師匠!! どうせお酒ばかり飲んでいたのでしょ?」


 リリアナは頭上に展開したあった数百本の黒い剣を、ノアに向けて全て放つ。しかし、上空に待機している不死鳥(フェニックス)のエドゥアールのたった一度の羽ばたきにより、剣は消滅する。


「リリアナ。前に言ったはずです、『これを越えなさい』と」

「あの程度の攻撃を防いだ程度でドヤ顔しないでください!」


 ノアとリリアナの攻防は続く。どちらも相手を傷付けることに躊躇しているため実力の半分も出していないのだろう。


 そんな二人の近郊を破るように遥か遠くから強力な一撃が放たれた。

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