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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
211/243

第211話 セレスティーヌ・ヴェラー編

「話しが違うじゃない!」


 白角馬(ユニコーン)の結界の中で、ヨハネス・ケルヒェンシュタイナーに問いただす。こんな化物たちと戦って生き残れって? 冗談じゃないわ!! こんなの結末なら、大人しくヴァルプルギスの夜会のメンバーでいた方がよかったじゃない!!


 ヴァルプルギスの夜会の新人が爆破で、リリアナの黒毒(ニゲルウィールス)を吹き飛ばした。


「ヨハネス! 逃げるなら今よ、今しかないわ!」


 リリアナが、新人と言い争いをしている今ならば…。しかし、リリアナは数百以上の黒い剣を頭上に召喚する。


 今度は剣? 一本一本が禍々しい力を秘めている事ぐらい私にだってわかる。あんな数の剣を受けたら…白角馬(ユニコーン)の結界さえ破壊されてしまうだろう。


 しかし、ドカン! ドカン! とリリアナの周囲が集中的に爆破される。


 あれは…。魔導戦艦!? 地上の新人の爆破と空中からの爆撃で土煙が舞い上がり、またもや周囲の視界は失われる。


 駄目だ。絶対に逃げないと…。


「待て」


  ディオン・シュルツに腕を掴まれる。


「な、何よ…。会話も出来ないのに、それに…あんなのに勝てるはずないわ!」

「逃げられぬと言っているのだ。感じぬか? リーダーの気配だ」


 背中に冷たい汗をかく。ま、真後ろに…リーダーが…いる!?


「裏切りの果てが…この結末か? 我が示した褒美で満足できぬか?」


 爆破が止み、リーダーは風の魔法で、誇りを散らす。


「リリアナ。選べ、我が妃となりヴァルプルギスの夜会が世界を統べる手助けをするか、死んで魔王スキルを俺に差し出すか」


 セレスティーヌ・ヴェラーは、凍った時の中で理解できない状況に、限りない死を身近に感じた。セレスティーヌ・ヴェラーは、わかっていない。


 神力と魔王スキルの保持者リリアナ。元・英雄スキル4万ポイントにより複数の上位スキルとSランクスキルを保有するセレスティノ・ヘルメスベルガー。現英雄スキルと天界から追放された悪魔のタムリンの成れの果てであるリーダー。


 そして…。


「リリアナ!!!!!!!」


 不死鳥(フェニックス)のエドゥアールを従え、黒飛竜(ダークワイバーン)のカスに乗った ノア・デモニウム・プリンセプスが、集まってしまった事の重大性を。


「貴様がノアか。場違いだ消えろ」


 発言したリーダーの顔を見たノアは驚く。


「また…タムリン?」

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