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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
210/243

第210話 リリアナ編

「私より前に出ないでください」


 と、私に注意を促し、セレスティノ・ヘルメスベルガーは、ヴァルプルギスの夜会に剣を向ける。


「いいえ。問答無用です」


 師匠であるノアと一緒にいた時間は、ほんの僅かだった。しかし、師匠に出逢わなければ…。確かに、帝国に…セレスティノ・ヘルメスベルガーに監視されていたみたいだが、今と同じ結果になっていたかはわからない。


 師匠の敵は私の敵だ!!


黒毒(ニゲルウィールス)!!」


 勇者スキルが成長のスキルであるならば、魔王スキルは記憶のスキルだ。歴代の魔王達が磨き上げたスキルを…私は自在に操れる!!


 霧でも煙でもない。それに近い動きをする何かが、ヴァルプルギスの夜会のメンバーを追い詰める。


「ま、待ってくれ!! 俺達は、帝国に与するために!!」


 あれは…ヨハネス・ケルヒェンシュタイナー。アンブロス王国の最強の騎士であり、どの部隊にも所属しない自由騎士か…。それほどの力と地位と名誉がありながら…簡単に裏切る。


「信用なりません!!」私は彼らの話しを聞くつもりはない。


白角馬(ユニコーン)!! 結界を!!」


 今度は、セレスティノ・ヘルメスベルガーですか。領主の娘であり、師匠と同じ使い魔における研究の第一人者とされる人物。どいつもこいつも…魔王より腹黒い!!


真なる死神の鎌アクーラートゥス・モルスファルクス!!」


 今度は異端審問官か!! 人材だけは優秀だ。しかし、力の使い方を間違っている!!


 しかし、恐らく神器か宝具か…そんな伝説級の武器をセレスティノ・ヘルメスベルガーは、帝国兵が持つ一般的なショートソードで受け止める。


 やはり元・英雄スキル…4万ポイント持ちは伊達ではない!?


「俺を無視するなよ。ディオン・シュルツ!」


 すると今度は…狂ったような青年が叫び出す。律儀な奴らだ。技を繰り出す順番待ちでも決めていたのか?


 青年の魔力が膨れ上がる。これは…私達が駆け付けたときに、爆発していた魔法か?


「爆破! 爆破! 全て爆破だ!!!」


 地面が揺れ爆風が土砂を巻き上げ結界に当たる。ほう? 黒毒(ニゲルウィールス)を消し飛ばしたか…。あれで死んでいれば痛みを感じずに済んだものを…。


 爆破に巻き込まれ倒れる者は、流石に一名もいないか…。


「そこの女ぁ!! 涼しい顔しているのも今のうちだ!! その顔を燃やし尽くす!!」

「不快ですね。消えなさい」


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