第209話 レナータ編
どうして!? 何かが間違っていた? 運命は何故歪んでいくの!?
ジュディッタ達が泊まる宿を見守っていたレナータは、予知にない…ヒノデリカが殺される現実を目の当たりにしていた。
助けようと思えば、助けられた。しかし、ジュディッタは、この世界を創ったタムリンの使徒なのだ。何か…意味があるのかと、躊躇してしまったのだ。
ジュディッタは魔剣の狂気に犯されていた。魔剣を手にして数秒で…心の半分が魔剣に食い尽くされたのだ。いや、聖女だからこそ、半分で抑えられたのかも知れない。
「やめなさい! 始まりの魔剣!!」
『殺す! 殺す! 殺す!!! カッカッカ!!』
地下倉庫で放たれた始まりの魔剣の一撃は、小さな街の30%を瓦礫の山に変えてしまった。
リオニーは防御魔法で直撃を防いだが、爆風で翔んできた瓦礫をいくつか受けてしまい倒れたいた。そんなリオニーを片腕を失ったエフェルフィーレが担ぎ逃げていくのを…私は見守っていた。
ジュディッタと始まりの魔剣は、どちらが体を支配するか、精神世界で争っているようだ。
私は…自分の力の無さに絶望し…何も考えられなかった。
「どうしていいか…わからない…」
そのとき、ノアが…私の創った世界の理から外れた世界から逃げ出したことを感知する。
「こんなときに…ノアまで…」
『カッカッカ!! カッカッカ!! そうだそれでいい。約束は守るぜ。俺はこの街の奴らを皆殺しにする。そうすれば、しばらくは大人しくしていてやるさ! カッカッカ!!』
最悪の結果だ。ジュディッタは、この街の住民を始まりの魔剣の生贄として差し出したのだ。
だが、私も…この場で魔剣と戦う気はない。
リオニーとエフェルフィーレを連れ、世界の理から外れた世界へ移動する。
二人を草原に佇む一軒家のベッドに寝せる。リオニーもエフェルフィーレの重症だ。二人とも爆風の瓦礫により、体のあちらこちらの骨が砕かれ、内臓も酷い損傷を受けていた。エフェルフィーレは、さらに片手を失っているのだ。
「時間はかかるけど。このベッドに寝ていれば、必ず完治するはず」
タムリンの記憶から、リオニーへ修行をつけていた頃の思い出が蘇る。
「随分と…立派になった…」
正直言って、リオニーのレベルでは、化け物じみたノア達と戦えない。
「ここで…全てが終わるまで…休んでいて…」
レナータは、リオニーに声をかけ終えると、ノアを守るために一軒家から転位した。




