第206話 ノア編
「ふーっ。レナータは…いなくなったよね」
「ノア、バラバラ! くすぐったらどうなるの?」
再び呼び出した猫亜人のアネッテに、土踏まずをくすぐられる。
「ぎゃはははっ! や、やめて!!! い、息が!!」
「馬鹿者!! やめんか!!」
灰狼侍のアウギュスタは、アネッテの頭に鉄槌を下す。
「拙者たちの力が足らぬばかりに、そのようなお姿にさせてしまい…申し訳ないでござる」
「いや、大丈夫。それにしても、まさか…精霊体のノアに…そんな攻撃手段があったとは…。くすぐり最強にして最凶だね」
バラバラにされた左腕の精霊義手が、 より強く七色に輝く。すると、肉塊と化したパーツが光の粒子に変換され…空中で交わると人の形を形成していく。
「見て見て、このように元通りです!!」
「ノア様。いつ見ても美しい裸体…コン。いえ、衣服までは元に戻らないようですねコン」
冬狐姫のカルメンシータが、ノアの裸体に興奮気味だ。
「アネッテ。何か服ある?」
「う〜ん。水着ならあるけど、ノアじゃ…。ぶふふふっ!! ぎゃっ!?」
わざと胸を見ながら言ったので、蹴り飛ばす。そして、ノアが衣服について考えていると、銀溶液のペルペトゥアが、ノアの体に纏わり付き…衣服に擬態したのだ。
「流石、ペルペトゥアです!! さて、後は、どうやって、ここから出るかですね」
精霊王の力を使って、この空間に干渉すれば…。またまた他力本願作戦のノア。しかし、あっさりと空間に穴が空きノア達は外に出る。
「これは…ヒガシヤマさんの世界のアニメでは、6週間ぐらい閉じ込められていても、おかしくない設定だったはず…」
「出たよ、ノアのヒガシヤマ脳…。話しについていけない」
アネッテのほっぺたを両手で抓みながら、現在地を確認する。
「ここは…メンディサバル帝国?」
【特定】スキルで周囲を探ると、とんでもない人物たちが一堂に会していた?
リリアナ、セレスティノ・ヘルメスベルガー、ヨハネス・ケルヒェンシュタイナー、ディオン・シュルツ、セレスティーヌ・ヴェラー、聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルム、それに…小太りの紳士マチュー?
「何…? この最終決戦感は!?」
ノアは、黒飛竜のカスを呼び出し、背中に乗ると大空に舞い上がる。
「もう…この時点で、ノアに気が付いているのは、セレスぐらいかな?」
接近戦では勝ち目が薄いため、この余裕のある今、リッチャルディ諸島を自由に飛び回る不死鳥のエドゥアールを呼び出した。
「うわっ…。緊張するな…」




