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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
206/243

第206話 ノア編

「ふーっ。レナータは…いなくなったよね」

「ノア、バラバラ! くすぐったらどうなるの?」


 再び呼び出した猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテに、土踏まずをくすぐられる。


「ぎゃはははっ! や、やめて!!! い、息が!!」

「馬鹿者!! やめんか!!」


 灰狼侍(サムライウルフ)のアウギュスタは、アネッテの頭に鉄槌を下す。


「拙者たちの力が足らぬばかりに、そのようなお姿にさせてしまい…申し訳ないでござる」

「いや、大丈夫。それにしても、まさか…精霊体のノアに…そんな攻撃手段があったとは…。くすぐり最強にして最凶だね」


 バラバラにされた左腕の精霊義手(エレメンタルアーム)が、 より強く七色に輝く。すると、肉塊と化したパーツが光の粒子に変換され…空中で交わると人の形を形成していく。


「見て見て、このように元通りです!!」

「ノア様。いつ見ても美しい裸体…コン。いえ、衣服までは元に戻らないようですねコン」


 冬狐姫(ヒエムスクィーン)のカルメンシータが、ノアの裸体に興奮気味だ。


「アネッテ。何か服ある?」

「う〜ん。水着ならあるけど、ノアじゃ…。ぶふふふっ!! ぎゃっ!?」


 わざと胸を見ながら言ったので、蹴り飛ばす。そして、ノアが衣服について考えていると、銀溶液(シルバースライム)のペルペトゥアが、ノアの体に纏わり付き…衣服に擬態したのだ。


「流石、ペルペトゥアです!! さて、後は、どうやって、ここから出るかですね」


 精霊王の力を使って、この空間に干渉すれば…。またまた他力本願作戦のノア。しかし、あっさりと空間に穴が空きノア達は外に出る。


「これは…ヒガシヤマさんの世界のアニメでは、6週間ぐらい閉じ込められていても、おかしくない設定だったはず…」

「出たよ、ノアのヒガシヤマ脳…。話しについていけない」


 アネッテのほっぺたを両手で抓みながら、現在地を確認する。


「ここは…メンディサバル帝国?」


 【特定】スキルで周囲を探ると、とんでもない人物たちが一堂に会していた?


 リリアナ、セレスティノ・ヘルメスベルガー、ヨハネス・ケルヒェンシュタイナー、ディオン・シュルツ、セレスティーヌ・ヴェラー、聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルム、それに…小太りの紳士マチュー?


「何…? この最終決戦感は!?」


 ノアは、黒飛竜(ダークワイバーン)のカスを呼び出し、背中に乗ると大空に舞い上がる。


「もう…この時点で、ノアに気が付いているのは、セレスぐらいかな?」


 接近戦では勝ち目が薄いため、この余裕のある今、リッチャルディ諸島を自由に飛び回る不死鳥(フェニックス)のエドゥアールを呼び出した。


「うわっ…。緊張するな…」


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