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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
204/243

第204話 ヨハネス・ケルヒェンシュタイナー編

 一度、元アンブロス王国ヴェラー領に帰ってきたヨハネス・ケルヒェンシュタイナーの表情は硬い。理由は、伝説の武具を作成可能な固有スキルである【名匠】を持つヒノデリカを連れて帰ることが出来なかった以上に、彼女の作る魔剣の威力が想像以上であったためだ。


「あれは帝国軍における数の有利性を簡単に覆すぞ」と呟く。


 この場には、異端審問官ディオン・シュルツもセレスティーヌ・ヴェラーもいない。俺は、セレスティーヌが反旗を翻した領地の幹部を集め作戦会議を開く、大広間に足を運んだ。


 議題は、勝利の門(ウィクトリアポルタ)に集中するアンブロス王国軍に対して、内側から攻撃して勝利の門(ウィクトリアポルタ)を開門させるという作戦についてだ。


「我々がメンディサバル帝国女帝リリアナと謁見し、帝国に迎え入れられた場合、即座に攻撃に移る必要があります。そのためには、事前にアリスター山脈を越えるか、王都の西側を移動しなければなりません」


 セレスティーヌは、領地の幹部達を完全に掌握していた。彼らの不安や不満を解消するために、領地と領地の権利を与え、税金などの収入を自由に使えるなどと、彼らの欲望を刺激したのだろう。それらは確かに現時点では嘘ではないが、女帝リリアナの一言で領地が没収されることもありえるのだ。


 会議の内容や雰囲気からセレスティーヌの方は、問題なさそうだと安心した。問題は、リオニーを連れ帰ることが出来なかったディオンの方だろう。


 案の定、不安は的中した。


「ディオン殿がいない?」


 ディオンの部下である異端審問官を問いただす。


「どうやら…異端審問官の宝具を取りに行ったようです…」と震えながら答えた。


「宝具とは? 聞いたことないが?」

「わ、私にも…詳細はわかりません。ですが、人知を越える異端者が誕生した時のため…それを打ち払うための…武器だと…聞いたことが…」


 馬鹿な…。ディオンは、ヒノデリカの魔剣と真っ向勝負する気なのか? ヒノデリカを倒すことが目的ではないのだぞ…。


 そこで…重大な見落としに気付く。

 ヒノデリカは…ノアという…あの小娘の事を口走っていたな…。


 ノア…。俺が、魔導具スキル強制強奪(リリーススティール)で殺した小娘だ。


「ノアを連れてくれば…あるいは…」


 だが、魔法都市ヴェラゼンに聳える十一塔の呪術塔の主アーク・ノルドクヴィストの説明によれば、方法は不明だが強大な力を保有していると聞く。


「どいつもこいつも…化物だらけだぜ」


 その後、ヨハネスは、異端審問官ディオン・シュルツの帰りを待ち、メンディサバル帝国へ旅立つ。と言っても、セレスティーヌの使い魔になった白角馬(ユニコーン)の長距離転移魔法により、帝国国境付近まで一瞬で移動していた。


「何故、帝都まで行かぬのだ?」


 ディオンの問にセレスティーヌが面倒くさそうに答える。

「強力な結界が張られているのよ。それに行けたとしても、侵入者扱いで…世界最強と名高いレスティノ・ヘルメスベルガーに殺されるのが落ちよ」


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