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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
202/243

第202話 聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルム編

 自分の行動が運命の天秤を動かすことも知らず、聖女は悩んでいた。


 私がするべき事は?


 偽聖女ジュディッタを見つけ出し殺すこと?

 魔導戦艦でエストラダ神国を空爆しに行くこと?

 ヴァルプルギスの夜会の裏切り者を殺しに行くこと?


 それと…特にリーダーからの命令でもない。何もしないという選択肢もあるのか。


 まず、古代教会の聖女という立場で考えたとき、ヴァルプルギスの夜会の裏切り者を殺すことに、何か意味があるのか? 


 アンブロス王国の領地やらを手土産に、帝国に寝返るつもりらしいが…。裏切り者たちが、メンディサバル帝国に加担したとして、戦況に変化があるのか?


 しかし、手元に資料もなく判断材料に欠ける。


 では、どちらの勝利が聖女にとって喜ばしいのだろうか?


 アンブロス王国には古代教会関連の施設が多い。

 メンディサバル帝国には古代教会関連の信者が多い。

 どちらが勝つにしても負けるにしても、古代教会は大きなダメージを負うことになるようだ。


 裏切り者を殺す事に意味が見出だせないな。


 偽聖女ジュディッタを見つけるよりも、場所が特定できているエストラダ神国を空爆しに行くべきなのか?


 いや…違うな。


 信者など、リーダーの英雄スキルを持ってすれば、いくらでも増やせるのだ。ここは、聖女という立場よりも、ヴァルプルギスの夜会のメンバーとして…リーダーの信頼を得るためにも、裏切り者を殺すことが最優先だ。


 小太りの紳士マチューと、新たにヴァルプルギスの夜会のメンバーとなった新人の青年に向かって、指示を出す。


「これより魔導戦艦は、メンディサバル帝国へ向け出航する。目的は、ヴァルプルギスの夜会の裏切り者共の抹殺です」

「聖女様! いいね!! 誰であろうと俺がぶち転がしてやりますよ!!」


 名前すら知らないのだが、新人の青年は、元気が良いな。


「しかし、どのようにして裏切り者を探し出すのでしょうか?」

「古代教会を介して、各宗教団体、異端審問官へ捜索の依頼を出します」


 小太りの紳士マチューは、ふむふむと私の回答を吟味する。


「裏切り者が最後に目撃された地点と目的地、移動手段から経路を割り出すことは可能ですかね?」


 言われてみれば、最終的には三人共、メンディサバル帝国へ入国するだろうが、移動は別々の可能性もあるのか。


「資料には、場所までの情報はありませんでした。メンディサバル帝国へ移動しながら、捜索結果を待ちましょう」


 サトゥルニナが神から受ける啓示の正体を…彼女は知らない。

 彼女の神とは…ヴァルプルギスの夜会のリーダーなのだ。

 つまり最初から、傀儡の聖女であり、古代教会もリーダーの手中にあったのだ。


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