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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
199/243

第199話 ジュディッタ編

 ノアの居場所…。正直言って知らない。しかし、雷神鳥(ゴッドサンダーバード)にお願いすれば、ノアは…駆け付けてくれるだろう。


 ノア…。私の知る限りで最強のハンター。


 明らかに、『その者たちは運命の天秤を動かす…小さな小さな分銅ですが、その者たちの扱いを誤れば世界は崩壊してしまうでしょう』に対して、何かを左右する…人物だろう。


 ノアを引き合わせて良いのだろうか?


 しかし、神は何も言わない。何の啓示も授けてくれない。


 私の…選択次第ということなのでしょうか?


「居場所は解りません。放浪の旅をしていましたから…。生きていますし、元気に何処かでハンターの仕事をしていると思います。それに…思い出しましたが、リオニー、ヒノデリカ…。ノアは、あなた達を探していました」

「ノアが…私達を…」

「はい。私は、ノアに盗賊の頭である父親を殺されましたが、それ以上の…ノアから…施しを受けました」


 盗賊の娘として生きていたとき、父は憧れの存在であり尊敬に値していた。しかし、ある少年に出会い、全てを否定された。あの少年は、今何処で何をしているのだろうか? そして、父は憎むべき相手になり、ノアに殺された。


 私が感傷に浸っていると、ドアがノックさ使いの者が入室してきた。


「聖女様、そろそろ…会議が始まりますので、移動をお願いします」

「わかりました。すぐに行きます」


 私は、リオニー、ヒノデリカ、エフェルフィーレに向き直り、「重要な会議があるため、席を外させてください。リオニー。まだ話さなければならないことがあります。お願いですから、私の前から姿を消さないでください。ノアへの恩返しをさせてください…私を頼ってください」と懇願する。


「まだ…傷が癒えていません。見ず知らずの貴方に甘えてしまって申し訳ないと思っていますが、ここで休ませてもらいます。それに…ノアの事をもう少し…聞きたい」

「はい。会議が終わったら、食事にしましょう。そのとき、またゆっくりと…。それとリオニー? エフェルフィーレは信用に値すると思ってよろしいのですか?」

「…はい。無理に私を…ここから引きずり出すようなことはしないと思います」

「そうですか。エフェルフィーレ。リオニーの信頼を、私の信頼を裏切らないでくださいね。剣はお返しします。リオニーとヒノデリカを…何者かから守るため、協力をお願いします」


 エフェルフィーレは静かに頷く。


「私にとって、これが冒険者として、最後の依頼だった…。リオニーを見つけることが依頼内容で、連れ帰ることじゃない」

「そうですか…それでは、失礼します」


 退室して、パタンとドアを閉める。


 ノアを…二人に合わせると…何かが始まってしまう…そんな気がする…。だから、今は、まだ引き合わせることは…しない。


 この選択が間違っていたことを誰が批判できようか? ノアとリオニー、ヒノデリカが巡り合う機会が失われ、世界がまた一歩、混乱へと傾く。


 そして、ジュディッタが出席した会議の議題は、エストラダ神国から聖女に対しての召喚状についてであった。


「エストラダ神国から…私に? 理由はエストラダ神国で話す…ですか…」

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