第198話 リオニー編
ハッ!? ヒノデリカ!! 目覚めると一番にヒノデリカの姿を探す。そんな事をしなくても、ヒノデリカは、私に抱きついてきた。
ヒノデリカが視界に入り安堵したリオニーは、状況整理に入る。ここは…。部屋の中? 誰かに助けられた? えっ!? エフェルフィーレ? 何故、商業都市サナーセルのBランク冒険者が!?
「無理しないでね。私は、ジュディッタ。真神タムリン教会の聖女です」
「真神タムリン教会!? タ、タムリン!?」
「あら? 貴方も…その名に驚くのね…」
「いろいろ聞きたいことがありすぎて…混乱しています。でも最初に、助けてくれたのですよね。何も…お礼は出来ませんが、ありがとうございます」
「いえ、貴方方を救うことは、神の啓示によるものです。私の治癒魔法で完治していると勘違いしているでしょうけど、貴方の傷はとても深く、まだまだ安静にしていなければなりません。正直、私の諸事情で、時間はあまりありませんが、私達の疑問を解いていきましょう」
私は記憶を呼び覚まし魔物に傷を負わされた…箇所に触れる。確かに傷跡一つない…。
エフェルフィーレが手を上げる。私は彼女を見つめた。
「久しぶりだなリオニー。まずは私が質問しよう。最初の疑問は、リオニーが商業都市サナーセルから忽然と消えたことだ。どうやって消えた? そして、どうしてヒノデリカと一緒なんだ? あっ、それと私がリオニーの敵でないことを証明してくれ」
「サナーセルを出た理由は、ヒノデリカを守るため。ヒノデリカに関しては何も言えない。サナーセルを誰の目にも触れずに出られたのは、聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルムによって、他の国へ転移したから。それと…敵じゃない? 逆に…何故、エフェルフィーレがここにいるの?」
聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルムの名にジュディッタが反応するが、まずはエフェルフィーレが先だ。
「簡単だ。リオニーの父、ディオン・シュルツに依頼されたためだ」
「ち、父に!! ここの場所を言ったの!?」
「えぇ…。それが契約ですから」
「なんてことを!! 早く逃げなければ…」
立ち上がろうとする私をヒノデリカが抑え、頭を振った。
「リオニー、安心してください。私も事前にエフェルフィーレからある程度の話しは聞いています。ここはキルスティ共和国の大都市アロンです。現在、古代教会関連の宗教組織と異端審問官を国内から排除すると宣言したため、彼らとは宗教戦争中なのです。アロンに彼らが入ってくることはありません」
「違う! ヒノデリカを狙う奴らは、それだけじゃない!!」
「どういうことですか? 離して頂かなければ、助けるにも助けられません」
「言えない…。言えば、どんどん敵が増える。私は…ヒノデリカを助けなくちゃ…守れなかったノア…のように…あんなことはもう沢山だ!!」
聖女の瞳が揺れる…。何故? ノアの名に反応した? そう言えば、聖女の名にも…。
「ノア、あなたは…ノアを知っているのですか?」
ジュディッタの話しでは、私の知っているノアとはかけ離れていたが、使い魔…銀溶液のペルペトゥアを名を聞いて、本物のノアだと確信した。
「………ノ…………ノ……ノア…」
ヒノデリカが…声を発した!?
「ヒノデリカ!! ノアが、ノアが!!!」
泣きじゃくる私とヒノデリカの代わりに、エフェルフィーレが尋ねる。
「ノアは何処にいるのだ?」




