第197話 ノア編
ベッドから起き上がり灰壁馬の外套を羽織ると、黒飛竜のカスを【呼魔】スキルで呼び出し、猫亜人のアネッテにお姫様抱っこされながら、背中に飛び乗る。
「カス! メンディサバル帝国へ!!」
カスに目的地を告げると、今後はアネッテへの尋問が始まる。
「アネッテ、他に何か知ってる情報は? ノア…今、余裕ないから冗談は通じないよ!?」
「え、えっと…。レイナルド皇帝が死んじゃって、リリアナが帝国で一番偉い人になったとか?」
「リリアナが!? だったら…何で戦争なんか…」
カスは雲を突き抜けると、メンディサバル帝国へ向けて、グングンと加速する。ノアは【結界】スキルを発動して凍死と窒息死から身を守る。
「それと…もう戦争は一ヶ月ぐらい続いているらしいよ」
「一ヶ月? ノア達がペラルタ王国で遊びに…じゃなくて、働き始めた頃?」
「ワハハハッ! 遊びにで正解じゃん!? 今更、働きにとか…わ、笑わせないで!! ブフッ…」
ノアは恥ずかしくて顔を真っ赤にして、ほっぺたをぷくりと膨らませた。
「えっ…」
【特定】スキルに…懐かしい反応が…。
「カス! 止まってください!!」
キルスティ共和国の沖合、海の真上の遙か上空に…。
「久しぶりですね」
「レ、レナータ!? いや、タ、タムリンなの!?」
紫の魔女ローブを着た容姿は、レナータよりもタムリンに近く、でも魂はレナータ…。魔力は…タムリン?
「タムリンであり、レナータでもある。好きな方で呼んでください。いや、やっぱり…レナータって呼んで欲しいかな?」
「一体…どうして…」
浮遊の魔法なのか? 気流にも揺らされること無く、静かに立つレナータは、まるで別人の…強者の風格を纏っていた。
「暴れられても困りますから…」
レナータは、手を上げ何もない空間から世界の叡智を取り出す。
「ノア、一緒に来て貰うわ。世界の理から外れた世界へ」
まばゆい光に包まれたノアの視界が戻り始める。
「草原に…一軒家?」
先程までいた海上の遙か上空とは全く違った場所…。
「……ノアには、あちらの世界の神が作り上げた力を宿している。この世界に長時間居られない…と、タムリンは言っていた。多分それは勇者スキルのこと。しかし、改良に改良を加え、ノアを封じ込められる世界を作り出すことに成功したの。でも、もう…勇者スキルは持ってないのよね」




