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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
197/243

第197話 ノア編

 ベッドから起き上がり灰壁馬(グレイウォール)の外套を羽織ると、黒飛竜(ダークワイバーン)のカスを【呼魔】スキルで呼び出し、猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテにお姫様抱っこされながら、背中に飛び乗る。


「カス! メンディサバル帝国へ!!」


 カスに目的地を告げると、今後はアネッテへの尋問が始まる。


「アネッテ、他に何か知ってる情報は? ノア…今、余裕ないから冗談は通じないよ!?」

「え、えっと…。レイナルド皇帝が死んじゃって、リリアナが帝国で一番偉い人になったとか?」

「リリアナが!? だったら…何で戦争なんか…」


 カスは雲を突き抜けると、メンディサバル帝国へ向けて、グングンと加速する。ノアは【結界】スキルを発動して凍死と窒息死から身を守る。


「それと…もう戦争は一ヶ月ぐらい続いているらしいよ」

「一ヶ月? ノア達がペラルタ王国で遊びに…じゃなくて、働き始めた頃?」

「ワハハハッ! 遊びにで正解じゃん!? 今更、働きにとか…わ、笑わせないで!! ブフッ…」


 ノアは恥ずかしくて顔を真っ赤にして、ほっぺたをぷくりと膨らませた。


「えっ…」


 【特定】スキルに…懐かしい反応が…。


「カス! 止まってください!!」


 キルスティ共和国の沖合、海の真上の遙か上空に…。


「久しぶりですね」

「レ、レナータ!? いや、タ、タムリンなの!?」


 紫の魔女ローブを着た容姿は、レナータよりもタムリンに近く、でも魂はレナータ…。魔力は…タムリン?


「タムリンであり、レナータでもある。好きな方で呼んでください。いや、やっぱり…レナータって呼んで欲しいかな?」

「一体…どうして…」


 浮遊の魔法なのか? 気流にも揺らされること無く、静かに立つレナータは、まるで別人の…強者の風格を纏っていた。


「暴れられても困りますから…」


 レナータは、手を上げ何もない空間から世界の叡智(オルビシフィア)を取り出す。


「ノア、一緒に来て貰うわ。世界の理から外れた世界へ」


 まばゆい光に包まれたノアの視界が戻り始める。


「草原に…一軒家?」


 先程までいた海上の遙か上空とは全く違った場所…。


「……ノアには、あちらの世界の神が作り上げた力を宿している。この世界に長時間居られない…と、タムリンは言っていた。多分それは勇者スキルのこと。しかし、改良に改良を加え、ノアを封じ込められる世界を作り出すことに成功したの。でも、もう…勇者スキルは持ってないのよね」


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