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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
196/243

第196話 ノア編

 あまりにお貴族様剣士、魔女っ子少女、元気な格闘家女子が騒ぐものだから、近くにいた冒険者たちも、ノアのギルドカードを見て大騒ぎを始める。一度火の着いた騒ぎは簡単に鎮火できない。たまたまその場に居合わせた冒険者ギルドの職員も驚きを隠せず混乱する。


「どういうことでしょう? そんなSランクを超えた冒険者の登録は…記録を閲覧するまでもなく…ありえません!!」

「じゃ、カードの偽装って事かよ!?」


 冒険者たちが騒ぎ立てる。


「決して、それもありません!! 誰一人として…アンブロス王国の魔法都市ヴェラゼンにいる研究者たちでも不可能だったのですよ!?」


 頭を抱える冒険者ギルドの職員。


 腹を抱えゲラゲラと笑う猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテが正解を教えた。


「ワハハハッ! やっぱりノア最高。馬鹿丸出し!! その君、ノアはギルドカードを偽装したんじゃなくて、幻術を使える使い魔で職員を騙しただけだよ。この国、魔道具でスキルを調査しないでしょ? セキュリティとかガバガバじゃん!」


 シーーーーーーーンと、静まり返る酒場。


「って事は…そのギルドカードは本物?」と誰かが呟く。


「「「「「「「「「「マジカ!!!」」」」」」」」」」


 いきなり伝説級? いや神話級のスキルを保持する化物と遭遇してしまった冒険者たちは、自分たちの命の危険を感じ始めた。


「ノ、ノアァ…はぁ…つよいのれす!!」


 周囲の混乱を無視して、酒を飲み続ける…少女。18歳とギルドカードにあったのだが、誰もが18歳じゃねーだろ…10歳ぐらいだろ…と心の中で呟いていた。


「おい、こ、こんな奴がいたら…メンディサバル帝国とアンブロス王国の戦争止めちまうんじゃねーのか?」


 その言葉に誰もがノアをチラッと一瞥するが…。


「ノア…あ、暑い…。ぬぎましゅ!」


 チンチクリンなボディなど誰も期待していないのに!!! という周囲の声を無視して、下着姿になるノア。


「ちょ、ちょっと!!」

「何してんのよ!」

「ほら、猫も、止めなさい!!」


 お貴族様剣士、魔女っ子少女、元気な格闘家女子が、自分たちのマントでノアを隠す。


 その翌日、各国の冒険者ギルドに対して、ノア・デモニウム・プリンセプスのスキル構成およびランクが魔道具を介して配信された。

 

 冒険者ギルドと繋がりのある組織は…勿論、ノアとの接触を試みようとするのだが、アネッテに一部始終を伝えられたノアは泣きながらリッチャルディ諸島に帰ってしまい…誰も接触が出来なかったのだ。


 ノアがベッドで自暴自棄になって4日が過ぎた時、アネッテが「あっ。リリアナの国、戦争してるみたいだよ?」と告げた。

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