第190話 ノア編
乙女なので鼻ほじーっとはしませんが、ノアは暇を持て余し、ベッドの上で猫亜人のアネッテを抱き枕にしてゴロゴロしているのです。
勿論、アネッテは、ノアに抱きつかれて嬉しいので文句一つも言いません。
島の学校や孤児院は、スタッフさんが面倒を見ていますし、使い魔の研究の方は…ほら、ノアが100%精霊体になって、異世界にぶっ飛んだ時、『魔物を統べる者』を介して、この世界に散らばる魔物たちの生態を全て知ってしまったから。
「出逢ったこともない魔物の生態も知っちゃったしなーっ」
なので、ノアがやるべきことは、新しいスキルを創造すること、創造したスキルを司る神になること。
「あっ、あと…。フロランタンの帰りを待つこと…。ふふっ」
「ノアは、フロランタンと付き合うの?」
「うーん…わからない…」
なかなか踏み切れない理由はわかっているのですが…。
あっ。精霊体と言えば、夢の中で、ノアにタムリンが話しかけてきた…。でも、ちょっと…タムリンっぽくなかった気がする。
「ねぇ。アネッテ。リリアナとか、ジュディッタに逢いに行ってさ、忙しいからとか言われたら、ノア立ち直れないんだよね」
「急に何の話?」
「だって、暇でしょ?」
「薬草採取してポーションでも作れば? 【薬草】スキルBランクでしょ」
「嫌、そんなの、地味すぎて嫌よ!」
「我がままだなーっ!」
「ノアは、ワガママです!」
「じゃ、【隠密】スキル使って、誰か覗きに行く? それなら忙しいって言われない」
「で、でも…あんなこととか、こんなこと…してたら…どうするの!?」
「知らない! そういうエッチな場面と遭遇する場所に行くな!」
「で、でも…。ちょっと面白そうよね…」
「ジュディッタはバルテにいるかな? あの子、手紙出さないから居場所がわかんないんだよね」
「なら、リリアナ?」
「リリアナは帝国にいるのはわかるんだけど、どうせ近くにセレスがいるでしょ? 見破られちゃう」
「駄目じゃん」
「うん…」
「それじゃ、行ったこと無い国に行く? 久しぶりの放浪の旅!」
「えーっ。ノア、トラブル発生率高いし…きっと面倒な事になるよ?」
「ソレが良いんじゃないか!」
「でも、目的が欲しいわね」
「世界最難関のダンジョン攻略とか!?」
「もうダンジョンはいいや」
「えーっ。何でもいい、戦わせろ!」
「ノアは平和主義者。戦闘キライ」
「灰狼侍のアウギュスタなんて、文句言わなけど戦いたいと思ってるはずだ」
「えっ? そうなの?」
「魔物って闘争本能ありありじゃん。ノア、本当に使い魔店で働いてたの?」
「働いていました!!」
「じゃ、異世界ごっこする? どこかの小さな村に行って、実は最強でしたってやつ。ヒガシヤマが話してたやつ」
「ソレ何が面白いのよ」
「なんだよ、ノア、文句ばっかり言って! お前も考えろ!」
「アネッテ、口が悪い! 一応ノアはアネッテの主!」
「煩いボケ!」
「わかった、わかった。戦わせるから怒らないで! 久しぶりにハンターギルド行く?」
「うん。わかれば良いんだよ。最初からそうしろよ」
「は、はい…。ごめんなさい…」