第185話 ノア編
肌をチリチリ焦がすような太陽の光。潮の香りを運ぶ風。
ノアは孤児院の子供たちと砂浜に来ていた。
「ここはノア・サンビーチなのです!!」
猫亜人のアネッテは、げんなりした顔で「うわっ。自分の名前付けるとか、サイテー」ツッコむ。
ノアは、アネッテの呟きを無視して、黒飛竜のカス、冬狐姫のカルメンシータ、灰狼侍のアウギュスタ、白浮霊のフェールケティル、鉄巨兵のラヴレーンチェフに、子供たちの監視と安全をお願いする。
「ノア! 何故、私を除いた!?」
「えーっ。だって、アネッテ、夢中になって、遊ぶでしょ?」
「こ、子供じゃない!! う、海ではしゃぐかっ!!」
プンスカと怒りながら、子供たちのもとへ向かうアネッテ。
「ミラも、折角、水着なのだから、遊んできていいですよ」
「は、恥ずかしいです…」
「ほら、行ってきなさい。命令です!」
「わかりました…」
プルン、プリン、と大きな何かを揺らしながら、走り出すミラ。
うーん…。人の大きさを気にする人生は辛い。
新しいスキル…バストアップスキルにして、おっぱいの神とか呼ばれようかな。
ノアは、ビーチパラソルを、えいっ! と突き刺して、椅子とテーブルを並べる。
「あぁ…これでお酒飲めたら最高なんだけどな…」
未だに禁酒を続けているノアなのだ。
リリアナは、正式に妃になり、手紙のやり取りは難しくなりそうだと言ってきて、手紙も途絶えてしまった。ジュディッタは、何してるんだろうな。
そして、タムリン、リオニー、ヒノデリカ、レナータの行方もわからない。
人生って…大変だ。
「ノア様」
孤児院を抜け出し一人暮らしを始めたフロランタンという少年に話しかけられた。
「フロランタン? 遊ばないの?」
「俺、もう16歳だよ。チビ達の面倒は、ちゃんと見るつもりだけど、今は…ちょっと休憩」
「偉いぞ」
頭を撫で撫ですると、「もう16歳だって」と、怒られた。
反抗期か!!
ぐっと、力強い目で…見つめられる。
えっ!? なに? 何なの!?
「ノア様。俺と…結婚してください!!」
おい、恋愛とか、好意を持たせるためのアプローチとか、努力とか、全部、スルーして、それか!? でも…ノアは…心の隙間MAXなのだ。
誰でも良い気がするし…。
やばい…。
かも…。