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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
181/243

第181話 ノア編

「ノア、神様になった」


 ノアが死んでしまったのではないかと、心配で涙目になっていた猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテは、ノアの発言を聞いて、悲しげな表情でおでこに、そっと手を当てた。


「ノア、熱はない。いや、熱があって欲しかった」

「いや、頭がおかしいみたいな、感じにしないで。それより、服を。」


 孤児院の屋根にいるノアは、「ちょっと、高くて下りられない」と、アネッテにしがみつく。


「ノア、たまに可愛い時あるよね」


 アネッテは、ノアを抱っこすると、ヒョイッと屋根から飛び降りた。


 着地したノアは、孤児院の扉を静かに開け、子供たちの寝室へ向かう。これは毎日の日課で、寝顔は心の状態を現すとか、それっぽい事を言い出して、悲しい顔をしている子供がいないか、確認していたのだ。


 続いて学校へ通う子供たちの宿舎で寝ている子供たち。こちらは四人部屋で数も多し、孤児院に比べて悩みも少ないだろうとか…【特定】スキルで、心の弱った子がいないか、お手軽に済ませる。


「ノアたちも寝ようか」


 使い魔研究所の自室に戻ったノアは、灰壁馬(グレイウォール)の外套を脱ぎ捨てると、ベッドに倒れ込んだ。


「ノア、お風呂は入らないの?」

「うん。ちょっと、疲れた」

「そう。じゃ、濃いノアの匂いを嗅ぎながら寝れる」

「アネッテ、自分のベッドで寝なさい!」

「今日は駄目。ノア、心配かけすぎ」


 アネッテに抱きつかれながらも、まぶたが…重い…。


 翌朝、アネッテと絡み合いながら寝ていたところを、孤児院で働くミラに起こされた。


「ノア様、はしたないです。18歳のいい大人なのですから、自覚を持ってください」

「なんだよ。ミラは何歳だ?」


 ぶーっ、と、アネッテが必死に何かを言い返そうとしている。


「16ですが、アネッテも、ノア様の使い魔なのですから、主が素行には気を使ってください」

「うん。ほら。ノアの所為で、アネッテが怒られた」

「何でノアが悪いことになってるの? ノアは、アネッテに自分のベッドで寝てって言ったでしょ」

「はいはい。二人とも、朝から喧嘩しないで。子供たちが大食堂で、ノア様たちを待ってますよ」


 朝食は全員で食べることになっている。宿舎の子供も、孤児院の子供も、働く者たちも、全員一緒だ。


 大食堂にノアが現れると、一瞬にして、静かになる。


「みなさん、遅れてごめんさない。お腹が空いてますよね。今日もいっぱい食べて、元気にがんばりましょう! いただきます!」

「「「「「「「「「いただきます!」」」」」」」」」」


 元気よく全員が一斉に食べ始める。


 宿舎の子供167名、孤児院の子供32名、働く者たち27名、それにアネッテを始めとする使い魔たち、ノアは笑い合い、幸せそうに朝食を食べる子供たちを見て、心が潤った。

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