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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第一部 使い魔店の看板娘
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第18話

 マーシャルさんに起こされ、ノアが目覚めると、寄り添うように白角兎(ホーンラビット)が眠っていた。ノアが寝ている間に餌と水を飲食したらしい。


 マーシャルさんに、クランダル病の原因と治療方法を説明する。


「何で理解ったんだい?」と突っ込まれたが、ハハハハッと笑って誤魔化す。


「まぁ、確かに元気にはなったね。しばらく檻に入れて経過観察だね」

「はい」


 マーシャルさんは、右手に持った分厚い辞書のような本をノアに向けた。


「朝市で買ってきた。この『魔物治療百例』って本、意味なくなっちまったね」


 奪い取るように、ノアは本を両手でガッチリと掴む。


「そ、そんなことはありませんよ! 全部読みます。隅々まで読ませてください!!」


 近づいたノアにマーシャルさんの顔が歪む。


「今日は、朝食を食べる前にタムリンに言ってお風呂に入りな」

「はい。ノア、もしかして匂いますか?」

「一晩厩舎にいれば誰でも臭くなるさ」

「うぅ…」


 ◆◇◇◇◇


 朝から湯船で体を洗うと、何とも贅沢な気分だなと思うノア。何気にギルドカードでステータスを見る。


□□□──────────────────────

●名前:ノア(人間・女性10歳)

●職業:商人(ランク:G)、スキルポイント:1

○能力:体力F 筋力G 知力G 魔力G 運気E

○評価:商才G 人脈G 財力G 知識G 健康F

○習得:鑑定A 索敵B 従属G 暗視E 隠密E

    念話D 検魔D 治魔F 回魔F 解魔G

○状態:良好

◎固有:拡張S 最適S 補正S

──────────────────────□□□


 「へっ?」と間抜けな声が浴室に響く。2回しか使ってないのに【検魔】スキルのランクがDだ。【治魔】スキルとと【回魔】スキルは1回でランクFになっていた。1回でランクFも大概なのだが、2回でDは異常だ。


 やっぱり勇者の【拡張】スキルを使用したからかな? 多分と言うより絶対にそうだ。一日三回までだっけ? いつ回数がリセットされるのだろうか? 日付が変わるときかな? だとしたら寝る前に、一日三回まで使わないと損じゃない?


 【検魔】スキルとかは対象がいないと使えないか。となれば、ランクAまで上がってる【鑑定】スキルかな。


 狡いことを考えていたら、浴室に入って来たタムリンにも気付かないまま、悪人面でニヤけていたらしい…。


(ノア。悪人面で笑ってて怖いのだけど…どうしたの? そろそろお風呂から出て欲しい)

(あっ、ごめん…)


 湯船からでると、いつものようにタムリンが白い魔法の杖でお湯を出し、全身に付いた泡を洗い流してくれた。

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