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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第五部 その手から零れ落ちるもの
172/243

第172話 ノア編

第五部は、各組織および陣営が入り乱れます。


各話でメインとなる人物を示すように、【ノア編】のようにタイトルに入れます。


また第五部は、非常に長くなると思います。

(本当かよ、こいつ信用ならねーって、自分でも思っていますが)

 ノアの18歳の誕生日を小さな子供たちが祝う。ノアは、キルスティ共和国の沖合に浮かぶ、リッチャルディ諸島のトゥリーナ島にいた。


「ありがとう。さぁ、みんな!! ミラが作ってくれたケーキを沢山食べてくださいね」


 ケーキにナイフを入れたとき、ジュディッタとの思い出がフラッシュバックする。


 1年間かけてジュディッタが一人前になるのを後見人として見届けたノア。本当は2年間程度必用かと思っていたのだが、ジュディッタの努力と周囲の支援により、寂しくもあるが…あっという間に一人前になってしまったのだ。


 ノアが知っている1年間をダイジェストで説明すると、ジュディッタはバッカウゼン商会の教育係から学ぶ一方、小さな都市バルテの学校へも通い始めた。


 そして、いつしかジュディッタは、バッカウゼン商会の若頭であるアダルベルトを、父親のように慕うようになっていた。そんなとき猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテが、「親子になっちゃえば?」と冗談を言ったのだ。しかし、二人は満更でもなかった。


 ジュディッタは、自分がノアを縛り付けているのが辛かったのだ。だから、寝る暇も惜しんで頑張り続けていた。そんなことはノアも気付いていた。


 翌日、正式にアダルベルトの娘となるジュディッタが、最後だから一緒に寝たいと言ってきた。


「ノアお姉ちゃんが、父親を殺した償いからじゃなくて…本当に私のことを大切に思ってくれているって…わかってるよ。明日からは、また…お父さんが…家族が出来るの。ノアお姉ちゃんには、自由でいて欲しいの…。大好きだよ…ノアお姉ちゃん」


 殺してしまった人間は生き返らない。どれだけ気にしないと言われても、ジュディッタの父親を殺したことには変わりないのだ。

 例え、ノアの父親が殺されても…ノアは…それ程気にしないと言っても…それはノアの価値観であり、本当に人の心の中など…わからないのだ。

 いや、わかってる。【特定】スキルと【看破】スキルによれば、ジュディッタが本当に気にしていないと思っている。

 つまりノアの問題なのだ。


 翌日、目を覚ましたジュディッタは、ベッドからノアが消えていたこと、アダルベルトの養子とまった事を知らしめる発表会と祝賀パーティーにノアが姿を見せなかったことから、別れの挨拶もなく旅立ったのだと諦めた。


 しかし、一週間後ノアは、ひょっこりとバッカウゼン商会に姿を見せた。


雷神鳥(ゴッドサンダーバード)を捕まえるのに苦労しちゃって…へへっ」


 泣きながら怒るジュディッタに店前で正座で小一時間ばかり怒られたなぁ…。


 雷神鳥(ゴッドサンダーバード)はジュディッタへの餞別である。ジュディッタに何かあれば、ノアとどれだけ離れていても、雷神鳥(ゴッドサンダーバード)が稲妻の速さで、ノアの下へ駆けつけるのだ。


「ノアお姉ちゃん!! ケーキ、ケーキ切ってよ! 早く食べたい!!」


 ハッとするノア。


「う、うん。ごめんね。すぐにケーキ切るから!!」


 ノアは知らない。ジュディッタが、たった3年で真神タムリン教会を創設し、今や古代教会に並ぶ勢力を誇る教会の聖女であることを。


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