第17話
スキルブックで見つけた魔物の治療に役立ちそうな4つのスキル。これら4つの上位スキルは、現在見つかっていないらしい。
【検魔】… 魔物の状態を診察する。
【治魔】… 魔物の病気を治療する。
【回魔】… 魔物の体力を回復する。
【解魔】… 魔物の体内の毒物を消し去る。
躊躇なく、ギルドカードでスキルを取得した。残りのスキルポイントは1ポイント。
急いでお屋敷に戻ると、マーシャルさんから「今日は白角兎の側にいてやりな」と言われた。
厩舎に入ったノアは、白角兎を檻から出す。
次に使ったスキルのランクを一時的に上げる勇者の【拡張】スキルを発動させて、覚えたての【検魔】スキルで白角兎を診察する。すると、【検魔】スキルは、【検神】スキルにランクアップした状態で、白角兎を診察した。
『クランダル病。一般的には病気と言われているが、実際は頸椎と角の軸がズレているため、神経を圧迫し空腹や疲労や睡眠などが感じられずに死に至る。このズレは幼体にした発生しないため、成体でのクランダル病は確認されない。治療は至って簡単。多少グラつく角を力を込め正しい位置に戻すだけである』
ノアは白角兎の角に触れた。すると白角兎は痛いのか、キュイッ!?と叫びノアの腕に噛み付く。
「大丈夫だよ。少し痛いけど…我慢するんだよ」
白角兎に腕を噛ませたまま抑えつけて、角の位置を上下左右にずらす。白角兎は苦しそうにジタバタとするが、ある位置で角のグラつきは治まった。
ぐったりする白角兎に、意味がないかも知らないが【治魔】スキルと【回魔】スキルを使う。そして、白角兎が落ち着いたところで、もう一度、【拡張】スキル後、【検魔】スキルを使い白角兎を診察する。
『正常』
と、表示された。
様子を見に来たタムリンが、血だらけのノアを見て慌てて近付く。タムリンは治癒の魔術を展開して止血と傷の手当をしてくれた。
(治癒は…得意じゃない)
(ありがとう…血も止まったし、痛くもないよ)
(もう! あまり無茶しないで!!)
(うん。今日は、この子とここで寝るから…)
(わかった。でも、夕食は食べに来てね)
(うん…)
タムリンと念話を終えても、白角兎は目を閉じたまま動かない。
「大丈夫だよね?」と白角兎の背中を撫でる。
タムリンから念話で夕食だよと連絡が入った。多少離れていても話せるから【念話】スキルは便利だ。