第164話
マーシャルの口調に関する意見を頂きました。
そして、マーシャルさんの登場です…。
全体的に統一感のないキャラたちですが、今のところは、そーなんだー…で見過ごしてください。
ノアは自由都市ルドワイヤンから離れ、アンブロス王国に潜入し、懐かしの『ムーンレイク使い魔店』で、マーシャルさんと再会を果てしていた。
「…というわけなのです」
ノアの長〜い説明を聞きすっかり冷めてしまった紅茶を飲むマーシャルさん。
「で、何しに戻ってきたんだい?」
「えっ!?」
「なんだい?」
「そ、その…ですね…。先程も…なんですけど…もっと、『いぎでぇだのがいぃっ!?』『だいへんだだでぇ…』とか、ならないんですか?」
「はぁ…。何を期待しているんだい。ノアには伝わってないのが寂しいが、心の中ではその通りになっているんだよ。表に出さないだけさ」
うぅ…。本当かなぁ…。
「ノアと関わりを持った人たちが失踪しているのです。一番最初は、レナータというキルスティ共和国で出逢った魔法使いの少女。聖女に聞けば、タムリンも、リオニーも、ヒノデリカも…みんな失踪してしまったとか…」
「命拾いして…また、手に負えない世界の暗闇に首を突っ込むのかい? 数年で見違えるほど強くなったけど、一人じゃないも出来やしないさ」
「マーシャルさんは…何者なんですか?」
マーシャルさんの眼光が鋭くなる。
「勝手に【看破】スキルを使うのはいただけないね。まぁ、いいさ。ヒガシヤマに会ったんだろ? あの駄目精霊王が…まさか本当に異世界の人間だったとはね」
「えっ!? マーシャルさん!?」
「賢者の話しは出てこなかったかい?」
「えぇぇぇぇぇっっ!? おかしいですよ、だって、賢者様って…数百年前の…」
「不老長寿の秘薬を飲んだのさ。だが賢者の力は、魔法都市ヴェラゼンに聳える十一塔に置いてきてしまったよ。もう…力はいらないんだよ」
ノアは、猫亜人のアネッテを呼び出す。
「アネッテ! この人が賢者様だよ!」
猫亜人を見て、マーシャルさんは、大粒の涙を流す。
えっ!? 私の時と…偉い違いなんですけど…。
「えっ!? そうなの!? 絵本と随分違うけど…。ノアがそう言うならそうなんだろうね」
図々しく席に着くと茶菓子をムシャムシャと食べ始めたアネッテに、「もっと食べるかい?」と優しく語りかけるマーシャルさん。
だから…差別です!!
「でも、どうして、あの森から出て、アンブロス王国に来たのですか?」
「恥ずかしげもなく言わせてもらえば、精霊王に恋をしてしまったんだよ。若気の至りさ、笑い話だよ。人間ごときが、永遠の命を持つ精霊王と…だから…不老長寿の秘薬に手を出して…いろいろ過ちに気付いたのさ」
うっ…。ヒガシヤマさんとの事は言わない方がいいな。
「ノア、今日は泊まっていくんだろ? お前の部屋はそのまま残してあるよ」
「ほ、本当ですか!? 嬉しいです。あっ。魔物の厩舎とお店…見てきてもいいですか?
裏口から入ったノアは知らなかった。タムリンとノアがいなくなり、店じまいをしてしまったことを。




