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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第四部 天の邪鬼な酩酊少女
161/243

第161話

 自由都市ルドワイヤンのメインストリートは、露店と人だかりでごった返していた。ノアは、【特定】スキルで周囲の人々の意識の流れと悪意を持つ組織から、己とリリアナを守っていた。


「師匠。お祭りとはこんな楽しいものなんですね!」


 この街にいながらも、孤児院で暮らしていたリリアナは、お祭りに参加したことはないと言っていた。


「こら、引っ張るな!! 手を離さないと約束しましたよね!?」


 背の低いノア達は、灰狼侍(サムライウルフ)のアウギュスタと冬狐姫(ヒエムスクィーン)のカルメンシータを盾にしながら進む。


「そうだ、知ってました!? 今日は、なんと!! 古代教会の聖女サトゥルニナ・レーヴェンヒェルム様が、いらっしゃるんですよ!! 聖女様はですね…」


 ワールドバザーって、古代教会が主催する慈善市だったか。サトゥルニナ…。結局、敵なのか味方なのかわからなかったな…。


「あれ? 師匠様? どうかしましたか?」

「いや…。何でもない」

「ノア! 今度は、アレ食べるぞ!!」


 そう宣言した猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテは、ノアの左手を引っ張る。


「アネッテも引っ張るな!! 手が千切れる!!」


 ノアは笑っていた。はしゃぐ、リリアナとアネッテを見ていると、知らず知らずのうちにノアの枯れていて萎れていた心が、潤い始める。


 楽しい…。


 素直な気持ちだった。


 お小遣いで買った魔物の串焼きのタレで口の周りを汚していたアネッテ。それを見かねたリリアナがハンカチで拭く。すると強欲なアネッテが、自分の食べていた魔物の串焼きをリリアナに食べさせた。


「美味しい…」


 なんか…親って、こんな感じなのかな? 成長したアネッテに感動したノアは、零れそうになる涙を拭い、振り向いた。


「サトゥルニナ・レーヴェンヒェルム。何の用ですか?」


 抱きつこうとした聖女を結界で弾く。


「なっ!? 感動の再会なのに!?」

「昔、友達にそのパターンで背中を刺されましたからね。それに…聖女様とは、そこまで仲良くありませんでしたよね?」


 がっくりと、地面に座り込む聖女。


「そ、そんな…。ノア…酷いです…」

「師匠!? 何言ってるんですか!? こ、この人が聖女様!?」


 驚くリリアナとエーベルハルト。冷たい視線のアウギュスタとカルメンシータ。


 そして、怒号と共に、ノアたちは、聖女の親衛隊に囲まれた…。

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