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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第一部 使い魔店の看板娘
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第16話

「あの…ここで買った白角兎(ホーンラビット)の調子がおかしいのだが…」


 朝一番にやってきた男性は、弱りきった白角兎(ホーンラビット)を大事そうに胸に抱えて訴えかけてきた。


 白角兎(ホーンラビット)? 確かに数日前、元気ない白角兎(ホーンラビット)を厩舎で見てけど、その子はここにいるし…。元気だし…。


「あの…大変失礼ですが、いつ購入された白角兎(ホーンラビット)でしょうか?」

「いつって言われてもなぁ…。確か、君じゃない女性から購入したんだけど…」


 ハッとなり、帳簿を開く。厩舎で白角兎(ホーンラビット)が元気なかったのは裁判所に呼び出された日、帳簿に記載された白角兎(ホーンラビット)が売られたのも同日…。


「しょ、少々お待ちください!!」と慌ててマーシャルさんを呼び、事情を説明する。


「す、すいませんでした。白角兎(ホーンラビット)の調子が悪かったのに報告できませんでした」

「まぁ、裁判所に呼び出されていたからね。それに白角兎(ホーンラビット)の調子が悪いのを見抜けず売ってしまったのは私さ。ノアが気にすることはじゃない」

「でも、別の白角兎(ホーンラビット)が翌朝にいたのは?」

「あぁ。たまたま市場の取引先からね。白角兎(ホーンラビット)を誤発注して大量入庫しちゃったから、一匹でも良いから買ってくれと言われてね。白角兎(ホーンラビット)は人気があるから、一匹買っておいたのが、これまた偶然その日に来たのさ」

「それで、ノインさんの白角兎(ホーンラビット)だけど…。恐らくクランダル病だね。元気な時とぐったりした時の差が激しくて、日に日にぐったりしている時間のほうが長くなって…そのうち衰弱死してしまう不治の病なんだよ」

「そ、そうなんだ。元気なときは元気なんだよ!」

「病気を見抜けなくて売ってしまったのは店の落ち度だ。ノインさんの購入動機は攻撃力の増強だったね。今店で一番高価なのは、白姫狐(クィーンフォックス)だ。差額は迷惑料だ。どうだい? 白姫狐(クィーンフォックス)で勘弁してくれないか?」

「いや…」

「駄目かい? 流石に…それ以上の保証はできかねるが…」

「いや、違うんだ!! 俺は…こいつが…。白角兎(ホーンラビット)と冒険がしたいんだ。弱っていても、主人を守るため、こいつは…健気に、必死に戦ってくれた…。頼む、こいつを元気にしてくれ!! また一緒に冒険させてくれ!!」

「だが…クランダル病は不治の病だ…。それにここは販売の専門店。病気を治療する技術はないんだよ」

「マ、マーシャルさん。まだクランダル病と決まったわけじゃありません。店で預かっても良いですか? ノ、ノアに看病させてください」

「お黙り。お前さんに何が出来るんだい? 出来ないことをお客様と約束するもんじゃないよ」


 そのとき、ノインさんの腕から、白角兎(ホーンラビット)がジャンプして、ノアの胸元に飛びついてきた。


白角兎(ホーンラビット)が…」

「どうやら、。白角兎(ホーンラビット)も最後の希望を君に託すと言っているみたいだ。結果は…どうあれ、君に頼めないかな?」

「ノインさん…」


 こうして、ノアと白角兎(ホーンラビット)による不治の病であるクランダル病との戦いが始まった。


 まず最初に昼食を食べたノアは、「すいません。ちょっと商業ギルドに行ってきます!! 午後はちょっとだけ遅れるかも知れません」と言って屋敷を出た。


 商業ギルドに入り、スキルブックの閲覧許可を申請する。いつものように、スキルブックを閲覧するための部屋に通される。監視官に挨拶をして、スキルブックを開いた。


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