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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第四部 天の邪鬼な酩酊少女
149/243

第149話

 お買い物はノアがグズって中止になった。ノアは泣き続けて疲れたのか、ベッドの上で寝ている。


「はぁ…。師匠に嫌われたかも…」

「それはない。だって、ノアは覚えてないよ?」

「本当ですか!? よ、よかったぁ…。でも、師匠って、14歳ですよね。少し…同年代と比べて、体が小さくないですか?」

「うーん…。そう言われても、猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテには、わからないな…」

「そうですか…。アネッテは師匠との付き合いは長いのですか?」

「うん? 一年ちょっとじゃない? なんで?」

「師匠って…たまに…凄い体験をしてきたんじゃないかって…そう思ったのです」

「本人に聞いてみれば? 教えてくれなくても、お酒飲ませれば、何でも話すぞ」

「お酒が自白剤!?」


 そのとき、ノアが起き上がる。


「あれ? 頭が痛い…。そして…気持ち悪い…。ノアは…一体…どうしたんだ? うん? リリアナ…その薬を持ってきたということは…ノア…もしかして、お酒を? 朝から?」

「そうですよ。師匠。リリアナのお買い物を忘れて、お酒をガブガブと…」

「うっ…。ほ、本当ですか!? 約束を破るなんて…本当にごめんなさい…」

「今度から、お酒には注意してくださいね」


 体調が整うまでノアはベッドの上でぼーっとするが、どうにもスッキリしないので、お風呂に入ることにした。


「アネッテ。お風呂に入りたい」

「うん。入れば?」

「…そう…。じゃ、カルメンシータに入れてもらおうかな。アネッテが、入れてくれないって文句を言いながら…」


 アネッテは、颯爽とノアを抱きかかえると、バスルームへ突入する。そして、しばらくしてから、真っ裸で出て来たノアを見てリリアナは驚く。


「し、師匠!? その左腕は!?」

「あっ。これ? 体内の精霊力を活性化させると、擬態していた皮膚が解除されて…」

「よく解りませんが、とりあえず…下着を…」


 ◆◇◇◇◇


 冒険者ギルドで、リリアナの先生になる人物と面会した。


「俺がBランク冒険者のエーベルハルトだ。スキルは、魔術がC、魔法B、魔導Cになる」


 ほぇ〜。白髪混じりの中年冒険者だ。場数を踏んでいるのが表情から見て取れる。【特定】スキルでも悪意は感じない。


「ノアです。こっちの猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテはノアの使い魔で、こっちがエーベルハルトに担当してもらいたいリリアナです。ノアは魔法が使えませんので、詳しい話は当人同士でお願いします。それと、ノアの旅に合わせる形で、教育をお願いします。当面の予定ですが、ワールドバザーが終わるまでは自由都市ルドワイヤンに滞在する予定です。宿泊先は、ノアたちと同室ですが、一応ベッドルームは別れています。それと…。リリアナは、ノアの目の届く範囲にいて欲しいので、訓練などで街の外に出る時は、一緒についていきます」

「問題ない。早速だが、魔法を見るため、街の外に出たい」

「あ、あの。はじめまして、リリアナと申します。これからよろしくお願いします」

「あぁ。こちらこそ。頼むぞ」


 ノア達は、エーベルハルトと街の外に向かって歩き出す。


「ノアは、随分と敵が多いんだな」


 エーベルハルトが、周囲の敵意を感知したのか、笑って話しかけてきた。


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