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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第四部 天の邪鬼な酩酊少女
148/243

第148話

 翌朝、ノアは雲の上で寝ているのかと勘違いする程の柔らかいベッドの上で目覚める。客間というかベッドルームは他にもある豪華な部屋に宿泊しているノア。しかし、何故か、リリアナと猫亜人(ゴロゴロニャー)のアネッテの3人で同じベッドに寝ていた。


「う〜ん。いつまでも、こんな高級ホテルに泊まっていたら、リリアナが勘違いしてしまいますね。いいですか? ノアが泊まるのは、下の中程度の宿屋です。屋根があって、ベッドがあるぐらいの宿屋ですよ。お祭りで何処も満室でしたので…」

「はい。師匠と一緒なら、どこでもかまいません」


 くっ。なんて、可愛いことを…。


「そうだ。魔法の先生との待ち合わせまで、外套を買いに行きましょう。それと、その服と杖も強化できるか確認しましょうね」

「あ、あの…師匠と同じ外套は…駄目でしょうか?」

「うん? これ? これがいいの? 灰壁馬(グレイウォール)の毛皮製だから…素材があれば作れると思うけど…まぁ、とりあえず、朝ゴハンですね」


 いつものように24時間営業している酒場に行く。


「し、師匠。お酒は駄目ですよ!」

「うっ。リリアナは厳しい弟子なのです。師匠の生きがいを奪うなんて…」

「何でアネッテが、師匠がお酒を飲むのを止めないんですか?」

「うん? だって、面白いから」

「面白いって…いつもそれで大変な目に合ってるとか言ってたじゃないですか!?」

「嫌な思い出をいつまでも覚えていたら楽しくないじゃない!?」

「学習は別です」

「まぁ、朝から喧嘩は良くないですよ。グビグビ…」

「し、師匠!! それ、お酒じゃないですか!! 何処から!?」

「おー! いい飲みっぷりだね、ノアちゃん!! 今日も、朝から絶好調!!」


 朝まで飲んでいたノアの飲み友達が、早速ノアに絡んできたのだ。


「リリアナ。戦いは、この店に来る前から始まっているのだ。ノアをここに連れてきた時点で負けていたんだよ。学習していないのは…どっちかな?」


 ドヤ顔のアネッテ。しかも、勝手に注文したモーニングセットを食べ始めていた。


「なんて自分勝手な…人たちなんですか!! もっと協調性を!!」


 ガブガブと酒を飲み続ける師匠を横目に、リリアナもモーニングセットを食べ終えた。


「よしっ! おみゃえら! ノアァ! ぬぎぃましゅ!!」


 ノアは外套を投げ捨て、テーブルの上で踊りだす。リリアナの怒りは沸点を越えていた。


「誰が…そんな貧乳見て喜ぶのですか!!」

「「「「「えっ!?」」」」」


 その一言に店内が静まり返る。


「わぁぁぁん!!」とノアが泣き出す。


「ノアァだっでぇ、ひんにゅーだっでぇ…が、がんばでぇ、いぎでぇるんだぁ!!」


 ターブルの上の蹲るノアの背中を撫で撫でするアネッテ。


「ほら、大丈夫。みんなノアのおっぱいを見たがってだよ。そうだ、ほら、ノア。お買い物行く予定だったでしょ。リリアナは、ノアが忘れていると思って、意地悪言っただけだよ?」


 優しいお母さんのようにアネッテは、ノアをあやし続けた。


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