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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第四部 天の邪鬼な酩酊少女
141/243

第141話

「ふ〜ん。大体、理由はわかりました。でも、アネッテの言う通り、ノアには魔法は教えられません。それでも弟子入りしたいのなら、するがいい。リリアナが、一生体験できないような…生死を彷徨う経験を沢山させてあげます。その中で魔法の腕を磨けば、他の魔女より強くなれると思います」


 生死? 彷徨う? 何それ…怖いんだけど…。でも…ここで、諦めたら…何もかわらない!!


「お、お願いします!! 弟子にしてください!!」

「うん。いいよー」

「ノア様? この娘が…二日酔い…酩酊状態を改善する術をもっているから弟子にするのですか?」

「ち、違う!! それは…誤解です!! ちゃんと…理由があります!!」


 女性の私から見ても絶世の美女がノアさんに…説教を!?


「リリアナが狙われる理由…その1は!! そ、そのネックレスです。それは…リリアナが一人前になるまで、ノアが預かっても良いですか?」

「ネックレスです…か? これは…私の…母が残してくれた形見だと、シスターは言っていました」

「うんうん。そんなところですよねー。はい、ノアに渡して。失くさないから」


 一瞬躊躇するが、師匠が渡せと言うなら…。


「それと質問があります。リリアナが、国で一番の権力と武力を持ったとして、何をしたいですか?」

「えっ!? そ、そうですね…。孤児院の子供たちに沢山ご飯を食べさせたいです」

「その気持ちを…本当に…国で一番の権力と武力を持ったとして、変えないと誓えますか?」

「た、多分…」

「そうですか…。それは…きっと無理ですね。でも、これだけは覚えておいてください。ノアの目の前に立ち塞がるのならば、例え…青春時代を共に過ごした弟子であったとしても、容赦なく…殺します」


 この人は…何を言っているんだろう? ノアさんに勝てるはずがないし…怖くて立ち向かえるはずがないのに…。リリアナが狙われる理由その2も聞きたいんだけど…。


「わ、わかりました…」


 ノアさんは、ニッコリと笑って、絶世の美女にお風呂の準備を指示する。


「まずは裸の付き合いですね。ところで、リリアナは何歳? ノアは14歳」

「10歳です。洗礼式を終えたばかりです…」

「ほぉ〜っ!? 10歳ですか…何とも…懐かしい…おばちゃんは、若さが憎い…」

「えっ?」

「あっ、日本的なネタです。気にしないでください」

「は、はい…」


 ノアさんと湯船に浸かる。


「いやぁ〜、弟子に胸の大きさで負けたら悔しいでしょ? だから、弟子とら無かったんだよね〜」


 私の胸をペタペタ触りながら、とんでもない理由を言い出した。


「で、でも…それは、私が成長期前で…小さいだけです。大人になったら…」

「破門です…。お帰りを!」

「駄目です! 絶対に駄目です!! それに…小さい頃から栄養のない食事でしたから、大きくならないと…思います…」

「むーっ? 本当ですか? ノアより大きくなったら、灰狼侍(サムライウルフ)のアウギュスタの刀で斬り落としますよ?」


 この人、大丈夫かな? 


 これが、師匠であり、友であり、敵であるノア・デモニウム・プリンセプスとの出会いだった。


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