第141話
「ふ〜ん。大体、理由はわかりました。でも、アネッテの言う通り、ノアには魔法は教えられません。それでも弟子入りしたいのなら、するがいい。リリアナが、一生体験できないような…生死を彷徨う経験を沢山させてあげます。その中で魔法の腕を磨けば、他の魔女より強くなれると思います」
生死? 彷徨う? 何それ…怖いんだけど…。でも…ここで、諦めたら…何もかわらない!!
「お、お願いします!! 弟子にしてください!!」
「うん。いいよー」
「ノア様? この娘が…二日酔い…酩酊状態を改善する術をもっているから弟子にするのですか?」
「ち、違う!! それは…誤解です!! ちゃんと…理由があります!!」
女性の私から見ても絶世の美女がノアさんに…説教を!?
「リリアナが狙われる理由…その1は!! そ、そのネックレスです。それは…リリアナが一人前になるまで、ノアが預かっても良いですか?」
「ネックレスです…か? これは…私の…母が残してくれた形見だと、シスターは言っていました」
「うんうん。そんなところですよねー。はい、ノアに渡して。失くさないから」
一瞬躊躇するが、師匠が渡せと言うなら…。
「それと質問があります。リリアナが、国で一番の権力と武力を持ったとして、何をしたいですか?」
「えっ!? そ、そうですね…。孤児院の子供たちに沢山ご飯を食べさせたいです」
「その気持ちを…本当に…国で一番の権力と武力を持ったとして、変えないと誓えますか?」
「た、多分…」
「そうですか…。それは…きっと無理ですね。でも、これだけは覚えておいてください。ノアの目の前に立ち塞がるのならば、例え…青春時代を共に過ごした弟子であったとしても、容赦なく…殺します」
この人は…何を言っているんだろう? ノアさんに勝てるはずがないし…怖くて立ち向かえるはずがないのに…。リリアナが狙われる理由その2も聞きたいんだけど…。
「わ、わかりました…」
ノアさんは、ニッコリと笑って、絶世の美女にお風呂の準備を指示する。
「まずは裸の付き合いですね。ところで、リリアナは何歳? ノアは14歳」
「10歳です。洗礼式を終えたばかりです…」
「ほぉ〜っ!? 10歳ですか…何とも…懐かしい…おばちゃんは、若さが憎い…」
「えっ?」
「あっ、日本的なネタです。気にしないでください」
「は、はい…」
ノアさんと湯船に浸かる。
「いやぁ〜、弟子に胸の大きさで負けたら悔しいでしょ? だから、弟子とら無かったんだよね〜」
私の胸をペタペタ触りながら、とんでもない理由を言い出した。
「で、でも…それは、私が成長期前で…小さいだけです。大人になったら…」
「破門です…。お帰りを!」
「駄目です! 絶対に駄目です!! それに…小さい頃から栄養のない食事でしたから、大きくならないと…思います…」
「むーっ? 本当ですか? ノアより大きくなったら、灰狼侍のアウギュスタの刀で斬り落としますよ?」
この人、大丈夫かな?
これが、師匠であり、友であり、敵であるノア・デモニウム・プリンセプスとの出会いだった。




