第132話
ノアの思考が停止する。しかし、岩巨兵のラヴレーンチェフは、冷静だった。
「ノア、バフ」
「【強魔】!!」
ラヴレーンチェフは両手を上げ、鉄巨兵のパンチを、正面から受け止める!?
ミシミシ、パリンッ、グシャ…、ゴトンッ!! ラヴレーンチェフの体が…ほぼ、崩壊する。
「【回魔】!! 【回魔】!! 【回魔】!! 【回魔】!!」
即死じゃなければ…どうにか…。
冬狐姫のカルメンシータと、灰狼侍のアウギュスタは、攻撃に転じていた。
「ノア! 何やってるの!! ラヴレーンチェフから離れて!!」
猫亜人のアネッテが、灰壁馬の毛皮製の外套のフードを引っ張る。
司令塔のノアよりも…冷静で優秀な仲間に感謝する。
隕石鷹のエドヴァルドも召喚して、頭部のオーブへの攻撃を指示した。
「ラヴレーンチェフ!! 頑張って!!」
一撃で体が崩壊寸前まで追い込まれるのだ…どれだけ痛いのだろう…それでも…非道でも…ノアは、 ラヴレーンチェフに、鉄巨兵を挑発させた。
「私も行ってくる。ごめんね。ラヴレーンチェフ。私じゃ…あいつの攻撃を回避できそうにない」
「イケ、オンナ、オマエ、スキ」
女の子になったから、キライからスキね。でも、そのスキって、どこまでの意味なんだろうか? 違う! 今は、戦いに集中しないと…。ノアの役目は、ラヴレーンチェフの強化と回復だ。
鉄巨兵が、オーブににまとわり付く、アウギュスタへターゲットを変えようするが、ラヴレーンチェフが挑発して、ターゲットを自身に固定する。そして、また強烈なパンチが振り下ろされた。
ガッガガガガ…。地面が大きく揺れる。ノアは両膝と片手を付きながらも、ラヴレーンチェフの体が完全に崩壊する前に回復させる。
ラヴレーンチェフの頑張りに涙が出てくる。すると、いつものように、銀溶液のペルペトゥアが触手で涙を吸い取り、別の触手でペチペチをノアを励ます。
そうだ!! 結界を…ラヴレーンチェフにかけることができれば…。
鉄巨兵は、パンチが効かないと理解ったのか、片足を振り上げる。
「キック!?」
あの巨体の蹴りなど、どれだけの威力なのだ!? パンチの比ではない!!
「間に合って!! 【結界】!! 【結界】!! 【結界】!! 【結界】!! 【結界】!!」