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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第三部 異世界から来た転生者
131/243

第131話 

「本当に女の子になっちゃった…」


 焼死体や爆発でバラバラになった遺体のすぐ側で、自身の股間を確認しながら、異次元のセリフを吐くアネッテ。


 ノアは微笑みを浮かべながら、【支配】スキルを発動して、アネッテを使い魔にした。


「アネッテは、白浮霊(ホワイトレイス)のフェールケティルと同じく、最後尾を守ってね」

「うん!! がんばるね!!」


 やっとアネッテの声と言葉が性別と一致した。完全女の子版アネッテは、より可愛くなった。抱きしめてみると、全体的な柔らかさもアップしていた。


「拙者は…そのような使い方には…賛同しかねるでござる…」と、アウギュスタは言いながらも目がハート状態だ。これは一目惚れというやつなのかな? でも…そこまで男の子版と容姿の違いは無いのだけれど…。はて?


 第90階層のボスまでは、進化した使い魔達を足止めできる強力な魔物は出現しなかった。


「予定通りだね。この扉の先にボスがいる。だけど、入室したらドアが自動で閉まる仕掛けが施されている。今までと違って逃げられないんだけど…どうしょう? 扉の開閉で認識されちゃうから【隠密】スキルも意味がないと思う」


 冬狐姫(ヒエムスクィーン)のカルメンシータは不敵に笑う。


「ダンジョン踏破もいよいよ山場。ここのボスは、【特定】スキルが無ければ、戦いが始まる前も情報の入手は不可能だコン。そして、戦いが始まったらならば、逃げることはできなコン。その場で攻略法を見つけられなければ、敗北…つまり死を意味するでコン。しかし、ノア様も十分に戦闘経験を積み、スキルを使い熟し、立派な冒険者と成りまコン。臆する必用はありまコン!!」


 ノアの震える手をギュッと握りしめるカルメンシータ。その上にアウギュスタ、ラヴレーンチェフの手が重なる。


「拙者たちを信じるでござる」

「オデ、ノア、マモル」


 その様子を見ていたアネッテは、「仲間っていいね」と、白浮霊(ホワイトレイス)のフェールケティルに小さく呟く。


 巨大な扉を岩巨兵(ストーンゴーレム)のラヴレーンチェフが押し開けた。


 巨大な空間の中央には、30m以上の巨大なボス…鉄巨兵カリブルヌスジャイアントが、どこからでもかかってこいと言わんばかりに、ノアたちを見下ろしていた。


 小型版の岩巨兵(ストーンゴーレム)のラヴレーンチェフでも…7m程なのに…。


 鉄巨兵カリブルヌスジャイアントが、動かないことを良いことに、弱点を…いや、調べるまでもない。不自然に全身からはみ出ている真っ青な巨大オーブ。


「壊せるものなら…壊してみろと? 問題は、鉄巨兵カリブルヌスジャイアントの攻撃速度ですね。ラヴレーンチェフでも、鉄巨兵カリブルヌスジャイアントの一撃をまともに受けたら危険です。なるべくなら回避したいところですが」

「私に任せてよ!」と、アネッテが一歩前に出る。

 

 そして、時間切れだと…鉄巨兵カリブルヌスジャイアントは、動き出した。その直後、想定外の射程距離と速度で、鉄巨兵カリブルヌスジャイアントのパンチが、集団で固まっていたノアたちに振り下ろされた!?

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