第129話
アネッテが生贄になるまで二ヶ月。それまでノアは、進化した使い魔たちと特訓の日々を送っていた。そして、その合間に敵の監視も続けていた。
「3万から増えていないな…。何でだろ?」
【特定】スキルで敵陣の様子を伺っていたノアは、あることに気がつく。
「あれ? ボスって…人間とか…言っていた気がする…」
ノアが認識しているボスは、鉄巨兵だ。どういうこと!?
「ダンジョンの中に要塞型ダンジョン…。あれ?」
第80階層のボスが、3万の青子鬼、赤巨鬼、緑豚兵。
第90階層のボスが、鉄巨兵。
第100階層のボスが、人間…。
ということなのかな? つまり…あの要塞型ダンジョンで最後…。そういえば、第100階層のボス倒したらどうなるのかな? とりあえず出発前にアネッテには、別れの挨拶でもしておこうかな? 帰還ポータルとかあったら乗っちゃうし、また78階層まで下りてくるの面倒だからね…。
そうそう…。ノアに月のものが来て、残念ながらアネッテの子は身籠っていませんでした。アネッテは号泣して、また子作りチャレンジしようと、ノアにお酒をすすめてきたのですが、前回主人を守れなかった冬狐姫のカルメンシータと灰狼侍のアウギュスタの怒りの守護により、きっちりと守られています。
ヒガシヤマさんが、日本に帰る時、ノアの名前を『ノア・デモニウム・プリンセプス』に変更していきました…。そして、職業も【精霊使い】から【魔物を統べる者】とか…とんでもない職業に勝手に変えていったのです。
スキルで言えば、【従属】スキルが上位の【支配】に進化しました。それと左腕の精霊義手についてきた固有スキル【進化】を使ったことにより、しっかりとギルドカードに明記されるようになりました。
あと地味に【弓矢】と【短剣】のランクもGからFにランクアップしました。
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●名前:ノア・デモニウム・プリンセプス(精霊・女性13歳)
●職業:魔物を統べる者(ランク:F)、スキルポイント:11
●能力:体力C 筋力D 知力C 魔力G 運気B
●評価:知識E 信頼D 探求F 支配C 創造G
●習得:看破D 特定C 支配G 暗視A 隠密A
念話C 検魔B 治魔C 回魔B 解魔E
呼魔B 巣魔B 強魔C 結界A 弓矢F
野営D 解除F 回避D 短剣F 方角C
採取B 鷹目B 狼鼻C 豹耳B 薬草B
●状態:正常
◎固有:炎術B 月術B 進化G
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そして、時は来た…。
「さて、ダンジョン踏破に向けて、ラストスパートだね!」
踏破したことにより、何が変わるわけでもない。しかし、強者に抗う何かを手に入れられる気がしたのだ。だって、ヒガシヤマさんのアドバイスなんだもん。信じるしか無いよね。
踏破したら…森を出て、また悪意のある世界に触れるんだ。
14歳のノアや15歳のノアが、一体どこで何をしているのか…。想像も出来ないけどね。
振り返れば、自信に満ちた使い魔たちが、出発の時を待っていた。