第124話
ノアは歓迎とかこそばゆいので、早々に村から立ち去ろうとしたのだが、村の猫耳キッズたちと使い魔が、無心に遊んでいるのを見て、その場に座り込んだ。
こんな大勢の人たちと接するのも久しぶりだな。
座っていたノアの手を、小さな女の子が引っ張る。
「おねーちゃんも、なかまにいれてあげるぅ〜。おいでぇ〜」
追いかけっこ!? おい、誰がほのぼのだと言った? それは地獄だった。猫亜人の身体能力を完全に見誤っていたノアが…悪いのだが…。
バタン! ノアは酸欠のため倒れてしまった。
ノアが目覚めると開口一番にアネッテが笑いだした。
「はははっ。人間って、もっと凄い生き物かと思っていたけど、子供たちと追いかけっこで、はははははっ。笑いが止まらない!!」
「うるさいなぁ〜。勝手に、化物扱いしてたのは、アネッテでしょ!?」
「悪い、悪い。もう、疑わないから…ははははっ。ノア、弱い、弱すぎぃ! ははははっ」
「アネッテも笑いすぎ!!」
殺人鬼扱いの次は弱虫ですか!? 面倒なやつだなぁ…。
「ごめん。ノア? もう大丈夫そうか? みんなが…歓迎会の席を用意してくれたんだけど…」
「うん。ありがとう。大丈夫だよ」
ここは村長さんのお屋敷だった。村人が会議に使う広い部屋に案内される。ノアが入室すると拍手喝采で出迎えてくれた。ノアは歓迎のお礼を簡単に述べ、村長の隣へ座る。すると今度は、村長が立ち上がり、宴の挨拶を手短に済ませ、宴が始まる…。
「まずは、一杯どうぞ」
ノアはお酒を飲んだことがなかった…。ノアはまだ…12歳…あれ? もう…13際になってる!? ダンジョン攻略中に…気付かなかった。ちなみに飲酒可能な年齢は国によって異なる。早い国で10歳から、遅い国で18歳からだ。
グビっ!? うげっ。苦い…。何か、脳がふわっとする…。何だこれ…。熱いし…。
お酒はほどほどに。料理を!! あぁ…美味しい!! 調味料!! 最高!! でも、こんな美味しいの食べたら、また調味料なしが辛くなる…。
その後も猫ダンスやら猫ソングやら村人総出で楽しませてくれた。
料理も、お酒も進む、進む…。
◆◇◇◇◇
「うっ…何だこれ…頭…痛い…気持ちわるい…。あれ? 何で、ノア…裸!?」
心臓がバクンっと大きく跳ねた。と、隣で…裸のアネッテが寝ていた。えっ!? どういうこと!? アネッテは…男の子だった。おいっ!? あの喋り方と容姿で!?
「うん? ノア起きた? どうだった? 昨日のアネッテ…。初めてだったんだけど…」
いやっぁぁぁぁぁっっ!?
その時の叫び声は、村中に聞こえたらしい。




