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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第三部 異世界から来た転生者
122/243

第122話

「た、助けて…欲しい……人間は信用できないけど…強いの知っている…」

「あのね? ノアは人間じゃなくて、精霊なんだけど?」

「う、嘘よ…」


 ペタペタとノアの体中を触ってきた。そして左腕に触れるとパァッと明るい顔になる。


「腕だけは精霊…。でも、他は人間…。やっぱり…嘘つき…」


 ノアは面倒くさくなり腕を払って立ち去ることにした。

 

「うわっ! ご、ごめんなさい!! 薬草をっ!! 薬草を洞窟に採種しに行きたいの!! で、でも…やっぱり、一人じゃ…無理だった。このままだと、お兄ちゃんが死んじゃうの!! お願い、助けて!!」

「はぁ…。あのさ。ノアは、どうやってアネッテの傷を治した? ノアは薬草が無くても、魔物に関する大抵の治療なら出来るんだけど? あとは、アネッテが、ノアを信じて村まで連れていくかどうかよ?」

「わかりました…。だけど、だけど…約束してください。村を蹂躙しないで…。どうか、アネッテだけで…」

「だから、殺さないって!!」


 アネッテを護衛しながら村に向かった。護衛というのも初めての経験だ。いつも誰かに守られてばかりだったからね。【特定】スキルにより、進路上に敵がいるのが把握できた。あとは…護衛を実体験するチャンスなんだけど、迂回する時間を戦闘で短縮するか、万一を考えて戦闘を回避するか、う〜ん…。そうだ!! 


「ねぇ。アネッテ。このまま進むとね。魔物と鉢合わせになるの。戦うか迂回するかどっちが良いと思う?」


 アネッテへ責任を押し付ける。ノアも悪よのぉ…。


「人間の…強さは知っている。このまま進もうよ。お兄ちゃんを早く助けたいの」


 ヨッシャー!! 言質を取りましたぁ!!


「みんなは、いつもの布陣で!! アネッテは、ノアの背中から出ないで!」

「いや、アネッテも戦うし? アネッテだって…そこの灰刃狼(ブレイドウルフ)と同じぐらい強いよ?」


 は、はい? それじゃ…護衛じゃなくて共闘じゃん!!


「わ、わかった…。白浮霊(ホワイトレイス)のフェールケティルと隕石鷹(メテオホーク)のエドヴァルドは、上空からアネッテの援護をよろしくね」


 敵は、いつもの青子鬼(ゴブリン)赤巨鬼(オーガ)緑豚兵(オーク)の混合パーティだ。使い魔たちに任せていても問題ない。


 ノアは、猫亜人アネッテの動きに注視する。確かに口だけじゃなくて強い。スピードを活かした攻撃を得意とする灰刃狼(ブレイドウルフ)のアウギュスタが、猫亜人アネッテの前では、柔ではなく剛となる。猫亜人アネッテは、体の柔らかさと反射神経を活かした戦い方は、天下一品だった。


 戦闘が終了すると、ドヤ顔で戻ってきたアネッテ。


「どうだ? 人間。アネッテも、そこそこ…ご、ごめんなさい…調子に乗ってしましましたぁ…。殺さないで…お願いします…」


 一転して涙目になる。もう、いいよ。慣れたよ、そのキャラクター。


「それよりも、もうすぐ村だね。村に到着したら、ちゃんと紹介してよ? 殺人鬼に脅されて連れて来たとか絶対に言わないでよね!!」【特定】スキルには猫亜人だらけの反応があった。


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