第115話
「くっ! 【強魔】!! 頑張って!! ラヴレーンチェフ!!!!」
一撃必殺の威力を誇る岩巨兵のパンチを正面から受け止める黒岩鰐のラヴレーンチェフ。圧倒的な機動力の灰刃狼のアウギュスタとは違い、防御力に振られたラヴレーンチェフに、回避という文字はない。
なので、魔物の特徴をより強化することが可能な【強魔】スキルで、よりラヴレーンチェフの硬さを強化する。
ラヴレーンチェフが攻撃を耐えている隙に、アウギュスタが、岩巨兵の強さの秘密である結界の装置…壁の装飾を壊していく。
4つ目の装飾が壊れた瞬間、待ってましたとばかりに、白姫狐のカルメンシータが、岩巨兵を凍らせていく。しかし、巨体を全て凍らせることは難しい。それでも一撃必殺のパンチは鳴りを潜める。
時間がかかったもののアウギュスタの剣と、ノアの月弓により、岩巨兵を撃破する。
「やったぁぁぁぁっ!! ノア達って強い!!」
そう、自分たちが強いだなんて、完全に勘違いしている時期もありました。
第69階層のボスから…白浮霊のフェールケティルが覚えた新スキル【念力】により、引きずられながら…救出されたノア達。
「zzzzz…」とノアと使い魔達は気持ちよさそうに寝ています…。
夢蝶々と愉快な仲間たち…に、フルボッコされたのです。
手に平サイズの蝶々がざっと400匹。四方八方縦横無尽に攻撃を仕掛けてくる蝶々達。もう数の暴力です!! しかも、雑魚な400匹に気を取られていると、夢蝶々が催眠ガスを放出してくるのです!!
目覚めたノア。攻略方法が思いつかず…思わず「どうするのこれ?」と言ってしまおう。
蝶々の弱点は火だと思い、切り札の新火蜥蜴のエドゥアールを投入するが、30秒で50〜60の雑魚蝶々を復帰させ、精霊にも効果抜群の催眠ガスを使ってくるため、攻略できずにいた。
「ちょっと結界を解除しただけなのに、即爆睡状態ですから…」
ノアの【結界】スキルの弱点は、他の攻撃スキルと併用できないことだ。攻撃するためには一時的に結界を解除しなければならない。今回は、解除したために催眠ガスで寝てしまったのだ。
睡眠と物理攻撃を無効化出来る白浮霊のフェールケティルが、どんなに頑張ってもボスの自然回復量を上回るダメージを叩き出すことが出来ない。
冒険者の人たちって、こんな戦いを乗り越えてるんだね。
空飛ぶ船の出来事を白浮霊のフェールケティルから聞き出して、ヒガシヤマさんに通訳してもらったときも、ノアの戦闘経験では到底太刀打ちできない異常な強さの内容で驚いて…絶望を感じたけど。あの人たちなら、このボス戦も瞬時に攻略方法を思いついたりするのかな?
「なーんも…思いつかないや。今日は帰ろう」