第114話
「でも…あの時は、岩巨兵の仕掛けも、余力があるうちの撤退も、何も…出来ていなかったんだな…。ヒガシヤマさんとのデートと肉体の限界で、頭がいっぱいだったな…」
ヒガシヤマさんとの昨晩を思い出し、一人顔を赤らめるノア。
色ボケしながらも、ちゃんと【特定】スキルには、黒岩鰐を補足していた。この魔物にも物理攻撃は効きにくいけど! 白浮霊のフェールケティルに精神攻撃を指示する。
「うん、決まったみたいだね!!」
混乱している最中に【従属】スキルを使い、見事!! 従属に成功する。
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●名前:ラヴレーンチェフ
●種類:黒岩鰐
●能力:体力C 筋力C 知力G 魔力G 運気G
●習得:挑発E 鉄壁C
●状態:正常
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戦闘の布陣を変更する。白姫狐のカルメンシータと灰刃狼のアウギュスタのツートップから、カルメンシータを外して、ラヴレーンチェフを入れる。カルメンシータは、ツートップの後ろ、ノアの前に配置する。
このまま岩巨兵へ再戦とか無謀なことはしない。しばらくは、連携の確認と、ラヴレーンチェフとの信頼関係の構築に時間をかける予定だ。
「だけど、今日はお家に帰ろうか…」
◆◇◇◇◇
「ただいま〜」
真っ暗な屋敷。それでも「サプライズ!!」とか言いながら、ヒガシヤマさんが出てくるのでは? と期待してしまう。カルメンシータが頭から肩に降りてきて、頬に体を擦り付ける。
「大丈夫だよ。カルメンシータ…」
誰もいないリビングのソファーに体を投げ出す。
あぁ…。ここで寝転がっていれば、ヒガシヤマさんが、ご飯を…。
あれ? ちょっと待て! ヒガシヤマさんって、スキルでご飯を用意していたんだよね?
材料は? 調味料は? 食器は? あれれれれれ?
家中探したけど、何もない…。
そして、ノアはひらめく。
左目は…。一日、10分だけ精霊王の力が使える…。ご飯が精霊王の力として…認識されていればいいけど…。
「出て来い!! ハンバーグステーキセット!!」
ドン!! ノアの中で、精霊王の力は、スペシャルコックさんに認定された瞬間だっった。