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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第三部 異世界から来た転生者
112/243

第112話

 ベッドから起き上がるノア。一糸纏わぬ姿だったことから、昨日の出来事が、夢でないことを確信した。


 何も知らない少女から、大人の女性になったんだ…。


 ヒガシヤマさんの気配は感じない。


 リビングのテーブルの上に、手紙を見つけた。覚悟を決めて手紙を読む。


 やっぱり…一度決定した選択を変更することは、あの天使さんが許さなかったんだ。でも天使さんは、最後の一晩共に過ごすことを許してくれた。


「う〜ん。妊娠してたらどうするんだろう? 子供にお父さんは? って聞かれたら?」


 テーブルの上には、サンドイッチが置いてある。


 最後の最後まで…ありがとう。


「美味しい…」


 サンドイッチを頬張ると、涙が込み上げてきた。


「わぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!! 一緒にいたいよ!! ずっと!! なんで、なんで、いつも…ノアは不幸なの!? 誰も、誰も愛してくれないの!? ノアは…いつまで、いつまで…一人なの…。ヒガシヤマさん…」


 そこで気付いた。


 自分の左目が見えていることに。左腕があることに。左胸があることに。そして、人間から精霊になっていることに。


 少しだけ冷静になり、サンドイッチを頬張りながら、もう一度手紙を読む。


 手紙はもう一枚あった。


 左腕の精霊義手(エレメンタルアーム)には、固有スキル【進化】が付与されているらしい。人の腕とは異なり、七色に光り輝いていた。


 左目はエメラルド。元々の瞳と同じ色で作られた義眼だ。一日、10分だけ精霊王の力が使えるらしい。


 左胸は…あの天使さんからのプレゼントで、特に何もない…。いや、どうせなら、もっとバストアップしてよ…。


 精霊について。姿形は人間と変わらない。ただ…環境の影響を受けやすい。自然では精霊力が増え、人工的な大都市では力が減る。


 サンドイッチを食べ終えると、ノアは天井に向かって話しかけた。


「ご馳走様です。とても…美味しかったです。ヒガシヤマさんも、『日本』という世界で、もう一度…笑顔で頑張ってくださいね。本当に、本当に、大好きでした。でも、ノアを置いていってしまったのは…ちょっと、まぁ、天使さんに逆らえなかったからですが…。ノアは、いつか…別の恋をしてしまいますよ? 怒っても…怒られても…知りませんから…。さようなら…。ヒガシヤマさん…」


 そして、涙を拭い…灰壁馬(グレイウォール)の毛皮製の外套に着替える。


「さて、皆さん。ダンジョン踏破に向けて、ノアに力を貸してください!!」


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― 新着の感想 ―
[一言] ガールズラブだと思って読んでいたのに、112話も読み進めた末にそうでは無かったと、本当に残念です。 物語が一転二転し面白そうな雰囲気になった途端に、後から出てきた男性と肉体関係を結ぶとは予想…
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