第111話
ヒガシヤマさん視点オンリー。
ノアのベッド脇の椅子で…寝てしまったのか。ノアの様子を見る…あれ? ノア? ノアがいない!? 使い魔たちも!? まさか!!
僕は慌てて、ダンジョンの入り口へ走る。
「不味いぞ!? 転移ポータルは、登録者にしか使えない。ノアがダンジョンの奥深くまで行ってしまえば、簡単に追いつけない!!!
ダンジョンの入り口のドアを開けると、ノアが倒れていた。
「ノア!?」
ノアを抱きかかえる。
「ヒガシヤマさん、ありがとうございます!!」
「ノア…もう、お願いだ…我儘言わないでくれ…。本当に死んでしまうぞ?」
ノアはギュッと抱きついてきた。
「だったら、ノアとデートしてください!!」
「デートの意味理解ってるかい?」
「はい!」
「あのね。命を救ってくれた恩人という意味の情や感謝とかは…愛とは違うんだよ?」
「情でも感謝でも…お兄ちゃんみたいでも、師匠でも…そんなの…関係ない…です。どんな恋愛からかけ離れたきっかけでも…愛は芽生えます!! 恋に恋い焦がれる小さな少女じゃないです。ちゃんと…ノアだって…女なんです…ヒガシヤマさんが好きなんです…愛しています…」
「だから? 人間として…デートがしたかったのかい?」
「はい…。駄目ですか? 隻腕、隻眼、隻胸じゃ…気持ち悪いですか!?」
「そういう言い方は、卑怯だよ。好きじゃない」
「ごめんなさい…」
「ノアには…ノアの良さがある。自分を卑下するな。誇れ。自分が自分を好きじゃないのに、他人が好きになるはずないだろ?」
「うっ…。その通りです…」
よりギュッと腕に力を入れてきた。確かに片腕なので…不思議な感覚だ。
「ノアの…女の子の始めても…」
「ば、馬鹿言うな!? まだ12歳だろ!?」
「でも…この世界は…10歳でも…結婚する人はしますし…人間として…一度は…好きな人と…」
「そ、それは…それ…だ。まぁ…デートは…してもいいかな。正直…僕も…ノ、ノアのこと…好きだから…」
「ほ、本当ですか!? で、でも…何か狡い気がします…。年下の女の子に告白させるなんて…」
「べ、別に…ノアに…告白されるのを待っていたわけじゃないぞ?」
デートと行っても、家の前の広場で、ランチを食べるぐらいだ。それでも、ノアは大喜びで楽しんでいた。
【ヒガシヤマ。迎えに来ました。貴方は無事、『誰かを救い』そして『生きる意味』を手に入れました。】
僕とノアの目の前に、真っ白な羽とパタパタと羽ばたかせる裸の幼児が現れた。
「ま、待ってくれ!! 今なのか!? すぐなのか!? まだ…僕には…」
【ヒガシヤマの葛藤は知っています。この世界に残りノアと共に愛を育むか、ノアと触れて知った生きる意味でもう一度日本で挑戦するか、ですが…貴方は…挑戦を選びました…】
「ヒガシヤマさん!?」




