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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第三部 異世界から来た転生者
111/243

第111話

ヒガシヤマさん視点オンリー。


 ノアのベッド脇の椅子で…寝てしまったのか。ノアの様子を見る…あれ? ノア? ノアがいない!? 使い魔たちも!? まさか!!


 僕は慌てて、ダンジョンの入り口へ走る。


「不味いぞ!? 転移ポータルは、登録者にしか使えない。ノアがダンジョンの奥深くまで行ってしまえば、簡単に追いつけない!!!


 ダンジョンの入り口のドアを開けると、ノアが倒れていた。


「ノア!?」


 ノアを抱きかかえる。


「ヒガシヤマさん、ありがとうございます!!」

「ノア…もう、お願いだ…我儘言わないでくれ…。本当に死んでしまうぞ?」


 ノアはギュッと抱きついてきた。


「だったら、ノアとデートしてください!!」

「デートの意味理解ってるかい?」

「はい!」

「あのね。命を救ってくれた恩人という意味の情や感謝とかは…愛とは違うんだよ?」

「情でも感謝でも…お兄ちゃんみたいでも、師匠でも…そんなの…関係ない…です。どんな恋愛からかけ離れたきっかけでも…愛は芽生えます!! 恋に恋い焦がれる小さな少女じゃないです。ちゃんと…ノアだって…女なんです…ヒガシヤマさんが好きなんです…愛しています…」

「だから? 人間として…デートがしたかったのかい?」

「はい…。駄目ですか? 隻腕、隻眼、隻胸じゃ…気持ち悪いですか!?」

「そういう言い方は、卑怯だよ。好きじゃない」

「ごめんなさい…」

「ノアには…ノアの良さがある。自分を卑下するな。誇れ。自分が自分を好きじゃないのに、他人が好きになるはずないだろ?」

「うっ…。その通りです…」


 よりギュッと腕に力を入れてきた。確かに片腕なので…不思議な感覚だ。


「ノアの…女の子の始めても…」

「ば、馬鹿言うな!? まだ12歳だろ!?」

「でも…この世界は…10歳でも…結婚する人はしますし…人間として…一度は…好きな人と…」

「そ、それは…それ…だ。まぁ…デートは…してもいいかな。正直…僕も…ノ、ノアのこと…好きだから…」

「ほ、本当ですか!? で、でも…何か狡い気がします…。年下の女の子に告白させるなんて…」

「べ、別に…ノアに…告白されるのを待っていたわけじゃないぞ?」


 デートと行っても、家の前の広場で、ランチを食べるぐらいだ。それでも、ノアは大喜びで楽しんでいた。


【ヒガシヤマ。迎えに来ました。貴方は無事、『誰かを救い』そして『生きる意味』を手に入れました。】


 僕とノアの目の前に、真っ白な羽とパタパタと羽ばたかせる裸の幼児が現れた。


「ま、待ってくれ!! 今なのか!? すぐなのか!? まだ…僕には…」


【ヒガシヤマの葛藤は知っています。この世界に残りノアと共に愛を育むか、ノアと触れて知った生きる意味でもう一度日本で挑戦するか、ですが…貴方は…挑戦を選びました…】


「ヒガシヤマさん!?」

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